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柏原選手の旧5区1時間10分47秒の感想。5区の最高記録について

今回柏原選手に、旧5区の区間記録である「山の神」今井選手のタイム1時間09分12秒を上回ってくれることを期待し、旧小田原中継所に向かいタイムを計ったのですが、結果は1時間10分47秒。

1分35秒も及ばず更新はなりませんでした。山の神の記録は偉大でした。

 

柏原選手の今回の5区全体のタイムは1時間17分53秒ですから、

現在の中継所から旧中継所(現在のコースの2.5キロ地点にある)までを7分6秒、旧中継所から芦ノ湖までを1時間10分47秒で走ったということになります。

 

箱根駅伝で2005年大会までのコースに当たる旧5区の区間記録、それは順天堂大学の今井正人選手の残した1時間09分12秒という偉大過ぎる記録でした。

今井選手が区間記録を出す前の最高記録は、事実上、早稲田大学の小林雅幸選手が1996年大会に出した1時間10分27秒というタイムです。この記録も偉大で、その後8年間の間に小林選手の記録に1分以内に迫れた選手はたった一人、それも58秒差というものでした。

2000年大会を境に旧5区のコースが一部変更になり、以降は小林選手の記録は正式な区間記録には認定されませんでしたが、コース変更に伴う距離の違いはたったの4メートルということで、事実上の最高記録であったことは間違いありません。

8年の間ほとんどの選手を1分以内に寄せ付けなかった小林選手の偉大な記録、それを一気に1分15秒も塗り替えたのが「山の神」今井選手でした。

 

今井選手が大記録を出した翌年にコース変更があり、5区のコースは2.5キロも延長されてしまいました。今井選手の区間記録は誰にも破られるどころか、誰にも挑まれることも無く消滅してしまった。駅伝ファンとして残念すぎることでした。

それまでの小林選手の記録も、微妙なコースや距離の違いから、明らかに最高タイムなのに正式な区間記録とは認められず、なにかモヤモヤした物がありましたが、今井選手が誰も文句の言えないような大記録をたたき出して、やっとすっきりしたと思ったのに、たったの1年で消えてしまった。

さらにモヤモヤに拍車をかけたのは、今井選手自身が3年生と4年生の時に現在の5区に出場したものの、旧5区を走った時ほどのパワーが感じられなかったことでした。

 

そこで、現在の5区で区間記録を持つ柏原選手に、現在の5区の中の「旧5区部分」で今井選手の幻の最高記録を更新してくれることを期待していたのです。残念ながら、柏原選手のタイムは1時間10分47秒で、本調子ではなかった事もあるのでしょうが、今井選手の幻の記録には遠く及びませんでした。

 

そしてもうひとつ気付いたことは、柏原選手の現在の5区の全体でのタイムは1時間17分53秒で、これを旧5区の距離に換算すると1時間09分33秒になってしまいます。

つまりこれは、純粋に旧5区だけを走って1時間09分33秒というタイムが出せる選手でも、距離が2.5キロ延長された、現在の5区の中の「旧5区部分」のタイムを計れば、1時間10分47秒かかってしまうという事になるのかもしれません。

柏原選手は前半からガンガン飛ばすタイプですので、スタートから2.5キロ地点までにスタミナを消耗してしまっているというのも理由だとは思いますが、それでもちょっと予想以上のペースダウンでした。

 

いつか換算などではなく、正真正銘の旧5区部分で、今井選手の記録を超える選手を見てみたいと思っていたのですが、正直言ってそれは難しくなりました。

なにせ2.5キロ距離が長くなった現在の5区の中で、2.5キロ地点から23.4キロ地点までを計る「旧5区部分」で、1時間09分12秒に匹敵するタイムを出す為には、純粋に旧5区だけを走れば1時間08分00秒くらいのタイムで走れる走力が要求されるということです。

柏原選手は向かい風の中で旧5区に換算して1時間08分53秒相当のタイムで走破したことがありましたが、それでも1時間08分00秒はきついと思います。

 

可能性があったとすれば、かつての山梨学院大のメクボ・モグス選手。モグス選手は全日本大学駅伝のアンカー区間で55分32秒という世界レベルのタイムをマークしたことがありました。

以前旧5区の区間記録を保持していた小林雅幸選手は、旧5区で1時間10分27秒という記録を出し、その10ヵ月後の全日本大学駅伝ではアンカー区間を57分46秒というタイムで走破しています。

もしモグス選手が上り坂を苦手とせず、旧5区を走りそのすべての力を出し切れば、1時間08分ちょっとくらいのタイムが出たかもしれません。

 

もうひとつの可能性としては、前半の2.5キロまでのペースを極端に抑えて、スタミナのロスを出来るだけ少なくして、2.5キロ地点から始まる旧5区部分に挑むことですが、選手たちは別に旧5区のタイムなんて眼中に無いでしょうから、こういった走りをする可能性は低いでしょう。旧5区のタイムなんて気にしてるのは私火川勇気のようなマニアックな駅伝オタクだけでしょうから。

 

残念ながら5区の最高記録については、今後もモヤモヤしたものを引きずることになるかもしれません。

 

(2013年・文章を一部削除しました。故サムエル・ワンジル選手の話を出してしまいましたが、どうも失礼な表現になっていたようです。単純に、世界レベルの選手は学生駅伝に出るメリットはない、という程度の意味だったのですが。)

 

 

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