2015年大会の感想 (2)
普通の感想です
青学大・神野選手
神野選手の5区での激走は全く想定外でした。
まさかあんなタイムが出るとは思いませんでした。
去年までと比べて約20m長くなっているコースで、明確に東洋大・柏原選手を超えてくれたのは嬉しいです。
2005年大会で、現在よりも2.5kmほど短いコースで順大・今井選手が1時間09分12秒という記録を出していますが、今回の神野選手はそのタイムも上回っていると思います。
神野選手の実力を知っていたら、旧小田原中継所まで行ってタイムを計測したんですが・・・。
2kmの通過タイムが5分39秒だったので、2.5kmのタイムは7分3秒〜4秒と予想されます。
5区の記録1時間16分15秒から7分3秒を引いたら、その記録は1時間09分12秒となり、今井選手と並びますが、今大会から距離が約20m延長されているので、今井選手と比べて3秒程度は余計にかかります。
その事を考慮すると、ほぼ確実に今井選手を超えていたと思います。
ただ、やはり推測ですから、正確にどうだったのかが非常に気になります。
以前、東洋大・柏原選手が1時間16分39秒で走った年、月刊陸上競技に、旧小田原中継所から往路のゴールまでのタイムが、今井選手よりも数秒遅いという記事が載っていました。
今回の神野選手についても、月刊陸上競技に今井選手と比較する記事があるのではないかと期待していたのですが、ありませんでした。
もし誰かが計測していたなら、ネット上にタイムを公開して欲しいと思います。
青学大について
神野選手の区間タイムもそうですが、青学大の総合タイム10時間49分台の大記録も全く想像もしていませんでした。
私は優勝確率は、駒大が90%、東洋大が9%、その他1%くらいだと思っていたので、青学大が優勝した事にまずびっくりしました。
そして2位に10分以上の差をつける大圧勝劇にさらにびっくりしました。
ただ1チームだけ達成出来た11時間切りが、10時間50分切りにまで到達するとは・・・
2000年に駒大が出した11時間03分台の記録はその後10年以上も破られず、2011年に早大が10時間59分台を出した時は、早大の記録は最低でも20年は残ると思いました。
そして2012年に東洋大が10時間51分台まで飛躍的に記録を伸ばした時は、本気で50年くらいは破られない記録ではないかと感じていました。
今回の青学大の走りを見ると、学生長距離は2000年〜2010年の間が停滞していただけで、記録はまだまだ伸びるのかも知れません。
選手たちにはまだまだ未知の可能性がありそうです。そして、その可能性を引き出す鍵は、監督にあると思います。
最近、東洋大の酒井監督が出した本を読みましたが、東洋大があれほどの大記録を出せた理由には、監督の優れたチームマネジメントの影響がなによりも大きいと感じました。
青学大の原監督にも是非本を出してもらい、いかにして10時間50分を切るチームを作り上げたのか、語って欲しいなと思ってしまいました。
ユニークな人柄の原監督はとても面白い本を書きそうな気がしますし。
5区の距離
5区で勝負が決まってしまうからという訳ではないですが、やっぱり以前の距離に戻した方が良いのではないかと感じてしまいました。
2006年に5区の距離が23km超に伸びて以来、毎年の様に逆転劇がありますが、そのほとんどは以前の21km弱の距離に到達する前に起こっています。
距離が昔に戻っても、それでも5区で勝負が決まる流れは今後も変わらないと思いますが、2008年の順大・小野選手や2013年の中大・野脇選手のように、距離が延長されたからこそ棄権になってしまった例もあり、今回の駒大・馬場選手もあと1km距離が長かったら危なかったでしょう。
駅伝記録オタクとして、大ブレーキや途中棄権は計算が狂って興味を削ぐというのもありますが、純粋に駅伝ファンとして箱根のランナーにはカッコ良く走って欲しいです。
ブレーキを誘発するようなコース設定はやめて欲しいです。
それに、5区が昔の距離に戻れば、必然的に4区も戻る事になり、1区〜4区にエース級、準エース級の選手4人が連続で登場するような、息つく暇もない熱い戦いが見れそうですし。
今回駒大のスーパールーキーの工藤選手が最短区間の4区に登場しましたが、往路に入るとしたら4区しかなく、もったいないなーと思いながら見ていました。
往路にもう一つ準エース区間を作って欲しいという意味でも、5区は元の距離に戻して欲しいと感じてしまいました。
4区が昔のコースに戻れば、2区の日本人最高記録の順大・三代選手の記録に匹敵する大記録である、駒大・藤田選手の1時間00分56秒も復活するわけで、今の時代の有力選手達がこの記録にどう挑むのか、是非見てみたいところです。
最速のシードライン
青学大の大会新記録の陰に隠れてしまいましたが、今大会では10位の大東大のタイムが11時間11分15秒で、これはシードラインとしては史上最速記録でした。
戦前の予想では上位7位までが強力で、大東大は今大会の8位候補筆頭という位置づけでしたが、城西大や中央学大に破れ、中大にも10区までは先行されてしまいましたが、走りのレベルはかなり高かったと思います。
4年前の2011年大会でも、大会新記録とシードライン最速記録の両方が同時に出ましたが、その時のタイムは大会新記録が10時間59分51秒、シードライン最速記録が11時間13分23秒で、1位と10位の差は13分32秒でした。
今大会では大会新記録で優勝した青学大と、最速の10位になった大東大の差は21分48秒まで広がっていました。
この4年間で、シードライン最速記録は2分8秒伸びたのに対して、大会記録は10分24秒も伸びています。
シードライン最速記録と比較すると、改めて今大会の青学大の49分台という記録や、以前の東洋大が出した51分台や52分台と言った記録が、異常なまでに凄いことがわかります。
シードラインの伸びと同じくらいならば、大会記録も10時間57分台くらいになる訳ですから。
10位、20位のタイムについて
今回は10位の大東大が11時間11分15秒まで記録を伸ばし、史上最速の10位になりました。
8位までが11時間10分切り、18位までが11時間20分切りを達成するハイレベルぶりでした。
仮に10区で失速した中大がブレーキを起こさずに好走したとしたら、9位までが10分切りを出来た可能性も高いです。
そうすると、繰り上がって19位までが20分切りを出来ました。
シード権を争う10位で10分切り、最下位の20位で20分切りが達成される時代は、もう目前かも知れません。
10分切りは一昔前の優勝争いレベルであり、20分切りは一昔前のシード争いのレベルです。
ちょうどスライドしたような形なので、今後どっちが先に達成されるのかも注目したいと思います。
駒大・中谷選手
駒大の3区・中谷選手はスタートしてすぐに急激なダッシュで一気にトップを奪いましたが、あれほど一気に突っ込んで大丈夫なのかと心配になるほどでした。
最終的に1秒差で区間賞を獲得し、最初のダッシュで稼いだタイムがそのまま役に立ったと言った所でしょうか。
中谷選手の爽快で華のある攻撃的な走りは、来年は是非2区で見せて欲しいと思います。
ただ2区になるとコース難度が3区よりも遥かに高いので、流石にあれほど飛ばす走りは難しいかも知れませんが。
日大・村越選手
日大の9区・村越選手は目の前で繰り上げスタートが行われ、泣き崩れるシーンが放送されていましたが、テレビ画面に表示された区間タイムは、一瞬タイムを間違えているのでは?と思ってしまうほどの好記録でした。
9区の1時間10分28秒というタイムは、とても次の区間が繰り上げスタートになってしまった選手のタイムとは思えないほどのレベルでした。
トップの青学大が強過ぎて、その煽りを食らった形でした。
今大会の9区はレベルが高かったものの、村越選手のタイムは、3年前の2012年大会ならば区間2位に、6年前の2009年大会ならば区間賞に相当します。
気象条件も違いますが、それでもこのタイムで走って繰り上げスタートを目の前で見る事になるとは・・・。
最後の箱根で不運というか悲運の選手でした。
2区について
1時間08分切りが5人も出て、前回の区間賞の早大・高田選手が、前回を上回るタイムで走ったのに区間6位になってしまうほど今回はレベルの高い2区でしたが、東洋大・服部選手と駒大・村山選手の牽制が残念でした。
2人で引っ張りあって、もっと上の記録を狙って欲しかったです。
特に村山選手には最低でも1時間07分を切って欲しかったです。
それに、07分台が5人もいても、07分台の前半は1人もなく、やや物足りないと感じてしまいました。
責任重大のエース区間での勝負の場面だけに、慎重になるのは仕方無いけど、青学大の5区神野選手があれだけ強力だと知っていたら、5区までに青学大を大きく引き離す必要があるため、服部選手も村山選手も牽制はしなかったと思います。
青学大内でも、5区の神野選手は1時間17分台〜18分台くらいは出せると思われていたようなので、青学大の2区の一色選手が前半は無理をしないでマイペースを保つ走りが出来たのには、5区に切り札が控えていた影響もあった事でしょう。
結局2区の段階ですでに他チームは青学大のペースに巻き込まれていたのかも知れません。