前回、全日本2区のタイムから箱根2区を予想するという事をやりました。
目当てのオムワンバ選手に関しては外れてしまいましたが、しかし過去の選手に当てはめると、予想と近い選手もいたりするので、当たらずと言えども遠からず、というものだと思います。
今回は全日本8区と箱根2区で平均タイムを比較することで、日大キトニー選手と山梨学院オムワンバ選手のタイムを予想したいと思います。
全日本の距離表示が現在と同じになった1990年〜1991年シーズンから、2011年〜2012年シーズンまでの間に、全日本8区1時間切りと箱根2区1時間10分切りを同一シーズン内に達成した例を調べました。
前回行った、全日本2区から箱根2区を予想した時となるべく同じ条件になるように、2011年〜2012年シーズンまでとします。最新の2012年〜2013年シーズンは含めていません。
1990年〜1991年シーズン
オツオリ (山学) 59分48秒 1時間08分40秒
1991年〜1992年シーズン
1992年〜1993年シーズン
マヤカ (山学) 57分48秒 1時間08分26秒
1993年〜1994年シーズン
花田 (早大) 58分07秒 1時間08分14秒
1994年〜1995年シーズン
渡辺 (早大) 57分19秒 1時間06分48秒
松田 (中大) 59分23秒 1時間08分47秒
1995年〜1996年シーズン
渡辺 (早大) 56分59秒 1時間06分54秒
マヤカ (山学) 57分32秒 1時間09分26秒
松田 (中大) 58分43秒 1時間08分29秒
1997年〜1998年シーズン
三代 (順大) 59分38秒 1時間08分18秒
小松 (神大) 59分43秒 1時間09分57秒
藤田 (駒大) 59分44秒 1時間08分12秒
1998年〜1999年シーズン
三代 (順大) 59分42秒 1時間06分46秒
1999年〜2000年シーズン
神屋 (駒大) 59分16秒 1時間08分51秒
2001年〜2002年シーズン
秋山 (大東) 58分54秒 1時間09分02秒
原田 (神大) 59分07秒 1時間09分14秒
2002年〜2003年シーズン
モカンバ (山学) 57分45秒 1時間08分02秒
松下 (駒大) 58分13秒 1時間07分58秒
2003年〜2004年シーズン
モカンバ (山学) 58分16秒 1時間09分12秒
2004年〜2005年シーズン
モカンバ (山学) 59分08秒 1時間07分47秒
2005年〜2006年シーズン
モグス (山学) 57分10秒 1時間07分29秒
池永 (中大) 59分54秒 1時間09分06秒
2006年〜2007年シーズン
モグス (山学) 56分31秒 1時間08分53秒
保科 (日体) 59分50秒 1時間08分24秒
2007年〜2008年シーズン
モグス (山学) 55分32秒 1時間06分23秒
北村 (日体) 58分55秒 1時間09分25秒
佐々木 (大東) 59分09秒 1時間09分41秒
伊達 (東海) 59分23秒 1時間07分50秒
2008年〜2009年シーズン
尾崎 (早大) 59分41秒 1時間09分36秒
2009年〜2010年シーズン
ダニエル (日大) 56分54秒 1時間07分37秒
2010年〜2011年シーズン
ベンジャミン (日大) 56分42秒 1時間07分09秒
村澤 (東海) 57分47秒 1時間06分52秒
平賀 (早大) 58分24秒 1時間07分50秒
高瀬 (山学) 59分00秒 1時間09分11秒
2011年〜2012年シーズン
村澤 (東海) 59分10秒 1時間08分14秒
平賀 (早大) 59分52秒 1時間08分47秒
以上36例の平均は、
全日本8区が58分33秒750(小数3桁まで。以下も同じ)
箱根2区が1時間08分21秒138。
箱根2区のタイム÷全日本8区のタイム=1.167
キトニー選手が今シーズンの全日本8区で出した57分14秒に1.167をかけると、予想タイムは1時間06分47秒になります。
前回は日大の先輩ベンジャミン選手が、箱根2区の1時間06分台を狙いながらも、向かい風に阻まれて達成ならずでした。
今回のキトニー選手は箱根駅伝初出場で、先輩の達する事の出来なかった06分台に到達するかも知れません。
全日本8区で区間2位、58分10秒のタイムを出した山梨学院オムワンバ選手。
1.167をかけて箱根の2区のタイムを予想すると、1時間07分52秒になります。
かなり物足りないタイムですが、オムワンバ選手はキトニー選手に対して、インカレや箱根予選会で勝利しており、真の走力はキトニー選手と同格かそれ以上でしょう。
全日本8区ではチームのシード権獲得の為に安全運転と言った感じでしたし。
しかし、箱根予選会ではスタートしてすぐにダッシュしたと思ったら、1キロ地点のペースは意外と遅かったりと、どうもペース配分の面で不安定な気がします。
潜在能力では現役学生の全選手中最強だと思うので、今シーズンの箱根でそれを証明して欲しいと思います。
1.167を過去の名ランナーに当てはめてみました
対象とした選手は、同一シーズン内に全日本8区と箱根2区で区間新記録を出した事のある早稲田の渡辺康幸監督と、山梨学院のメクボ・モグス選手です。
渡辺康幸さんは1994年〜1995年シーズンに、全日本8区と箱根2区の両区間で区間新記録を達成しています。
その時の全日本8区のタイムは57分19秒です。1.167をかけて箱根2区のタイムを予想すると、1時間06分53秒になります。
現実の箱根2区のタイムが1時間06分48秒ですから、5秒差という事になります。
しかし、もう一人の同一シーズン内で両区間の新記録を打ち立てた男、モグス選手に当てはめると、とんでもない事になりました。
2007年〜2008年シーズンに全日本8区でモグス選手が出した記録は55分32秒ですから、1.167をかけると出てくるタイムはなんと1時間04分48秒。
現実にそのシーズンの箱根の2区で出した記録は1時間06分23秒ですから、1分35秒もの大外れになります。
モグス選手は翌年のシーズンに、箱根2区のタイムを1時間06分04秒まで伸ばしますが、それでも1分16秒も届きません。
私は常々、モグス選手は箱根2区では力を出し切れておらず、全力を振り絞れば、1時間05分台のタイムは出るのではないかとは思っていました。
しかし、流石に1時間04分台は考えていなかった。
1.167という数値が間違えているのかとも思いましたが、渡辺康幸さんの場合は現実に近いタイムが出ています。
渡辺康幸さんが安定感抜群で有名な選手だった事も考えると、1.167の数値の方が正しくて、モグス選手が箱根2区で力を出し切れなかったとした方が自然な気がします。
さらに言うと、テレビ朝日の全日本大学駅伝のサイトにある、「瀬古利彦が切る」というコーナーで、瀬古利彦氏が「気温がもう少し低かったら、さらに30秒くらい縮められたのではないだろうか」と発言しています。
もしこれが正しければ、気象条件が良ければモグス選手は55分ちょうどくらいで全日本の8区を走れるという事になります。
55分00秒に1.167をかけると、そのタイムは1時間04分11秒になりますから、03分台にすら迫る事になります。
瀬古利彦氏の言う事が完璧に正しい訳ではないでしょうけど、的外れという事もないでしょう。
モグス選手が秘めていた能力の凄さには驚かされるばかりです。
同時に、その能力を発揮できないまま4度の箱根駅伝を終えてしまった事が残念でなりません。
すべての力を箱根の2区で出し切るモグス選手を見てみたかったと、今更ながらに思ってしまいました。
もっとも、本当に04分台なんてタイムが出てしまったら、留学生の出場禁止とか、またやっかいな問題が出てきそうなので、出なくて良かったのかも知れませんが。