今大会の予想は外れまくりでした・・・
駒大・村山選手の2区06分台に期待→08分台でした
日大・キトニー選手2区06分台を期待→2区に出場しませんでした
早大・大迫選手は3区を1時間01分28秒で走る→3区に出場しませんでした
日体大・服部選手には5区17分台を期待→19分台でした
日体大・服部選手の今年と去年のタイムを比較する事で、去年の大会の向かい風の影響を知ることができる→1分18秒差しかなくて、どう考えても納得いかない
優勝候補筆頭は駒大で決まり→東洋大の圧勝
総合優勝タイムは飛び抜けて良い記録は出ない→すさまじく良いタイムが出ました
10位争い、20位争いで好記録が出る→意外と平凡なタイムでした
ここまで外すとむしろ清々しい思いです。
とりあえず風がなかったのは良かったです!
往路の朝、鶴見中継所の様子を見に行った時、街路樹がざわざわと風に揺られて、また向かい風かよ!と思ったものですが、レース中には強い風が吹くことはなく、選手たちは良好なコンディションで走れたと思います。
しかし、そのコンディションと、全チームに28分台ランナーがいるという戦力の割に、上位以外のチームのタイムは意外と伸び悩んでいました。
私のシミュレーションとの照らし合わせでも、23チーム中19チームがシミュレーションのタイムを下回るという結果でした。(参考までに一昨年は、シミュレーションを下回ったのは20チーム中9チーム)
どうも速いだけで、強くないチームが多かったようです。
その結果、上位では駒大の強さと、東洋大の更なる強さが際立つ事になりました。
各チームの現実の記録と、当HPで公開したシミュレーションとの照らし合わせです
1位 東洋大
10時間52分51秒
シミュレーション11時間00分45秒
−7分54秒
2位 駒大
10時間57分25秒
シミュレーション10時間59分05秒
−1分40秒
3位 日体大
11時間03分51秒
シミュレーション11時間00分44秒
+3分07秒
4位 早大
11時間04分17秒
シミュレーション11時間02分03秒
+2分14秒
5位 青学大
11時間08分53秒
シミュレーション11時間10分14秒
−1分21秒
6位 明大
11時間10分09秒
シミュレーション11時間04分17秒
+5分52秒
7位 日大
11時間12分52秒
シミュレーション11時間10分10秒
+2分42秒
8位 帝京大
11時間13分03秒
シミュレーション11時間05分46秒
+7分17秒
9位 拓大
11時間13分06秒
シミュレーション11時間20分17秒
−7分11秒
10位 大東大
11時間14分43秒
シミュレーション11時間13分11秒
+1分32秒
11位 法大
11時間15分33秒
シミュレーション11時間09分02秒
+6分31秒
12位 中央学大
11時間15分40秒
シミュレーション11時間13分24秒
+2分16秒
13位 東海大
11時間17分52秒
シミュレーション11時間11分06秒
+6分46秒
14位 東農大
11時間18分02秒
シミュレーション11時間09分29秒
+8分33秒
15位 中大
11時間18分43秒
シミュレーション11時間13分22秒
+5分21秒
16位 順大
11時間19分03秒
シミュレーション11時間17分17秒
+1分46秒
17位 國學院大
11時間20分44秒
シミュレーション11時間17分57秒
+2分47秒
18位 神奈川大
11時間23分47秒
シミュレーション11時間15分22秒
+8分25秒
19位 城西大
11時間25分42秒
シミュレーション11時間13分45秒
+11分57秒
20位 上武大
11時間25分56秒
シミュレーション11時間23分58秒
+1分58秒
21位 専大
11時間28分39秒
シミュレーション11時間14分30秒
+14分09秒
22位 国士大
11時間38分35秒
シミュレーション11時間22分57秒
+15分38秒
途中棄権 山梨学大
シミュレーション11時間08分53秒
総合記録について
全チーム中、シミュレーションよりも最もタイムを伸ばしたチームが優勝した東洋大でした。
東洋大は2年前に大会記録の10時間51分36秒を出した時にも、やはりシミュレーションよりも7分以上早いという事がありました。
元々11時間前後という超ハイレベルなタイムが予想されているチームが、さらにそこから7分以上もタイムを伸ばすというのは、常識では考えられない事です。
2年前の大会はまだ、柏原選手という天才ランナーが起爆剤になっていたと感じましたが、今回はそういった飛び道具なしで、地力だけで突き進んで、大会記録と僅差で走りきってしまうのですから、2年前以上の衝撃でした。
10時間51分36秒という大会記録を出した時に東洋大の5区を走った柏原選手は、他の強豪と比べても3分は早い選手でした。
そして、柏原選手並みの天才ランナーは今後は数年、下手すると数十年は現れない。
そう考えると、箱根駅伝の総合タイムは今後は10時間55分くらいが限界になると読んでいました。
その限界を軽く突き抜ける10時間52分51秒の記録には、ただただ唖然とさせられました。
東洋大のこの強さの秘訣は何なのでしょうかね。
陸上男子短距離のウサイン・ボルトが他の選手がない物を持っているのは誰が見ても明白ですが、箱根駅伝の東洋大もまた、他のチームにはない何かを、まだ気づいていない何かを持っているのかも知れません。
それがトレーニング方法なのか、ピークを合わせる方法なのか、高校生の才能を見抜くスカウティングなのかはわかりませんが。
東洋大以外のチームを見ると、駒大がシミュレーション通りに11時間切りを達成。
村山選手の走りは誤算だったとは思いますが、それでも今年の駒大は速さも強さもあった。
それでも敗れたのは、東洋大が強過ぎたからでした。
他のチームでは、拓大と青学大がシミュレーションよりもタイムを伸ばしました。
特に拓大は、2区でシード圏内に入り流れに乗ると、4区で加速し、復路でシードラインに迫られるが9区で突き放す、という駅伝のお手本のような流れでした。
近年はつなぎのような扱いの4区ですが、一昔前は花の2区に匹敵する勝負所という位置づけでした。
最近は3区が準エース区間として定着していますが、やはり山上りに繋げる4区は、例え距離が短くても重要区間なのではないかな、と今回の拓大のレースを見て思ってしまいました。
青学大はもう1区の一色選手の走りにつきますね。
10キロを28分36秒で通過した後、先頭に出て引っ張るとは思いませんでした。
今後強くなるでしょうね。一色選手も青学大も。
6区について
今大会レベルの高かった6区で区間賞を獲得した明大の廣瀬選手。1年生の時の区間17位と言う成績もありましたが、4年間合計で軽く4時間を切ってきました。
58分16秒という記録は現区間記録にも、旧区間記録にもあと少しで惜しかった!
7位という地味な位置からのスタートでしたが、もう少し明大の往路が粘ってくれたら、廣瀬選手のモチベーションも維持しやすかっただろうなと思ってしまいました。
他にも58分台を出した早大の三浦選手など来年以降の活躍が楽しみな選手も出てきました。
一斉スタート組の城西大の1年生菊地選手も積極的な面白い走りを見せてくれて、タイムも1時間切りまであと5秒とこちらも惜しかった。
90年代から箱根にハマっているものとしては、明大・廣瀬選手(4年生ラストラン)と、城西大・菊地選手(箱根デビューの1年生)の二人の活躍とレース展開を見ていると、タイプの違う2人の「山下りの超スペシャリスト」が同時に走った1999年大会を思い出してしまいました。
1999年大会の6区は、神奈川大・中澤選手(4年生)が、中位からのスタートではありましたが、現在でも事実上の区間記録と言っても良い58分06秒を出し6位から5位に上がり、後方の一斉スタート組では後に4年連続1時間切りを達成する大東大・金子選手(1年生)の活躍が見られました。
余談ですが、大東大・金子選手が4年生になった2002年大会では、今度は中大・野村選手(4年間の6区平均区間順位1.5位)がデビューしています。
6区という区間は、なぜか大学を超えて山下りの名人の称号が受け継がれる傾向にあるようです。
城西大・菊地選手は来年以降6区の顔となれるか、今後を楽しみにしたいと思います。
MVPについて
MVPは東洋大・大津選手との事ですが、確かに大津選手はレベルの高い走りを見せてくれたけど、1区をハイレベルな区間タイムで走った日体大・山中選手や、トップを奪い総合優勝の立役者になった3区の東洋大・設楽悠太選手を押し退けてまでの受賞には疑問が残ります。
受賞の理由は復路新記録に貢献したからという、これまた今まできいた事のないような理由でした。
今後、当HPではMVPについては一切触れない事にします。
以前から、2区の区間賞がなかなか選ばれない最優秀選手賞とは何なのだろうか、とは思っていましたが、今回ではっきりしました。
今後は一切ノーコメントです。
駒大・村山選手、日体大・山中選手について
1時間06分台も狙えると思っていましたが、痙攣の影響でペースダウンし08分台に終わってしまった村山選手。
5キロのチェックポイントの通過が14分02秒の超ハイペースですが、90年代には早大の渡辺監督が5キロを14分06秒 (テレビ画面確認。現在よりチェックポイントが若干戸塚寄り) で通過して最終的には1時間06分54秒で走っていましたし、今の村山選手の走力が、現役時代の渡辺監督と比べて劣っているとは思えないんですよね。
5キロが13分50秒とかならともかく、14分02秒は村山選手なら許容範囲のような気がします。
もしかすると、5キロまでの1キロ毎のペースや、その1キロの中の細かいペース配分になにかミスがあったのかも知れません。
まあこんな事は、素人がテレビを見ててわかる物ではありませんが・・・。
地元鶴見の人間として言わせてもらうと、スタートしてすぐの鶴見川の橋は、軽そうに見えて意外ときつい。
勢いだけで駆け上ってしまうと、あの橋で小さなダメージを負ってしまう可能性はあると思います。
気負っている状態だと、スタート直後は適切なペース配分は難しいでしょうから。
細かい事はわかりませんが、11秒先行していた日体大を追いかけた事がマイナスになってしまったのは間違いないでしょう。
1区で歴代3位の爆走を見せてくれた日体大・山中選手。
大本命と思われた駒大・中村選手を抜き返した時には鳥肌物でした。
結局山中選手が駒大に対して11秒の差をつけた事が、駒大の2区村山選手のペースを乱し力を封じ、駒大が往路優勝を逃す原因になり、往路を終えて駒大に対して先行した東洋大に「トップ効果」が生まれ、実力的にほぼ互角だった東洋大、駒大の6区、7区で、東洋大がさらにリードを広げる形になっていたと感じました。
ハイレベルな区間タイムと共に、後の区間にも多大な影響を与えた事を考えても、日体大・山中選手こそMVPにふさわしいと思うんですけどね。
早大・高田選手について
2年生ではありますが、「箱根駅伝初出場」で花の2区を制した早大の高田選手。
どうも陸上雑誌などで扱いが小さかったですが、これは現行の2区では初の快挙です。(補足・日本人選手では初の快挙です。留学生ではオツオリ選手など何人もいます。)
現在のコースになる前の2区も含めると、戦後1人目の4年連続区間賞獲得者の日大の土谷選手が、1965年大会で、当然初出場となる1年生で区間賞を取っています。
今回の高田選手は49年ぶりの快挙だったわけです。
来年の高田選手がどの区間を走るかはまだわかりませんが、是非とも2区を走って欲しい。
「前回2区区間賞」という勲章を持つ選手が走ってくれるのは、純粋にワクワクします。
来年は駒大の村山選手、山梨学大のオムワンバ選手あたりと全力でぶつかり合う展開を期待しています。
山梨学大について
2区のオムワンバ選手の怪我で途中危険に終わった山梨学大。
オープン参加として、3区や9区を見事なタイムで走っていましたが、特に3区の兼子選手に注目してみました。
山梨学大の3区と言えば、ケニア人留学生からタスキをもらう事が多い区間。
過去、2006年大会から4回2区を走ったモグス選手は内3回をトップで3区に繋ぎました。
そのトップスタート3回の3区の選手とタイムです
2006年 片貝選手 1時間04分18秒
2008年 田中選手 1時間04分50秒
2009年 宮城選手 1時間04分50秒
今回の兼子選手は、今シーズンの全日本大学駅伝の走りから予想すると、1時間04分台の中盤くらいになると読んでいました。
それだけに、過去の先輩たちのペースがちょうど良い目標になるのでは、と思っていました。
結果は1時間04分06秒。
見事に先輩たちのタイムを上回って来ました。
それも2区オムワンバ選手の途中棄権の直後の区間という事で、最も気持ちの切り替えが難しい中で、トップでスタートした過去の先輩たちのタイムを上回るのですから、一層の価値がある走りだと思います。
山梨学大負けてなお強し。見ている人間にそう思わせる兼子選手の走りは、山梨学大の意地の象徴のように感じました。
有望な新人も加入するそうですし、来年の山梨学大は飛躍するかも知れません。
ゲストに榎木和貴氏登場!
今大会で1番びっくりした事でした。
前回の途中棄権の事もあるので、中大のOBがゲストに来るかな、とは思っていました。
もしそうなら、間違いなく藤原正和選手だろうと思っていました。昨年は世界陸上にも出てましたし。
まさか今になって榎木和貴氏が来るとは思いませんでした。
榎木氏は1、2年生の時に8区、3、4年生の時は当時の準エース区間の4区で区間賞を獲得した名選手で、2年生の時には8区の区間新記録も出していました。
榎木氏は戦後7人目に4年連続区間賞の偉業を達成した選手ですが、戦後6人目の達成者が区間新記録3回の早大・武井隆次氏で、戦後8人目がこちらも区間新記録3回の東洋大・柏原竜二選手という事で、派手な選手に挟まれて、やや地味な印象がありますが、紛れもなく名選手です。
当時中大のファンだった火川にとって、榎木氏と、同学年の松田和宏氏の2人はヒーローでした。
特に3年生の時の1996年大会の4区。
山梨学大と神奈川大の途中棄権で有名ですが、テレビにこそあまり映りませんでしたが、先頭の早大を猛追し区間賞を取ったのが榎木氏でした。
その速さ以上に、走りのフォームのインパクトが凄くて、何度もビデオテープを巻き戻して榎木氏の走りを見たものです。
「軽やか」という言葉があれほど似合うフォームはなかったと思います。火川の中で、今だに美しいフォームのランナー歴代1位の座を占めています。
そんな榎木氏ですが、4年連続区間賞達成者という事で、卒業後はすぐにテレビのゲストに呼ばれるだろうと思っていましたが、卒業後1年目の1998年大会も、2年目の1999年大会も、3年目の2000年大会もゲストとして登場する事はありませんでした。
まさか2014年になって登場するとは夢にも思いませんでした。
ただ出来れば松田和宏氏の方を呼んで欲しいと思ってしまいましたが。
榎木氏が4年連続で区間賞を獲得できたのも、同期の松田氏が4年連続で2区を走ったからこそですから。
何はともあれ、 日テレに感謝します。これからももっと過去の名選手をゲストに呼んで欲しいです。