5度目のナンパ旅行 第3ステージ

 

                                    第3ステージ出発前

実は第2ステージ終了後、当初予定になかった北海道旅行に行っていた。

その関係で第2ステージ終了から、1週間以上の時間を空けての再出発となった。

第1ステージの3日目に、青森の竜飛崎から北海道を眺めた時、つい北海道に行きたくなってしまったので、どうせならと行って来てしまった。ナンパとはまったく無関係の旅なので、体験談とかはありません。

 

ヒゲについては、第1ステージ初日に受けたレーザー脱毛の効果で、ほぼすべてのヒゲが抜け落ち、全く剃る必要のない状態になっていた。

この状態がしばらくは続くので、旅の終わりまではツルツル状態を維持できる。

 

出発前の変更点は、出発時期が1週間遅くなった事と、当初は第3ステージは2週間の連続した旅をする予定だったが、なるべく1週間程度に抑えて早めに帰ることだった。

 

 

                                    第3ステージ 1日目

第3ステージの目的は山口県をゲットするのみ。ただそれのみ。他の目的はなにもなし。気合を入れて出発した。

初日は国道1号を走り続けて愛知県まで行く。

もちろん乗り物は四輪車。

 

名古屋市にある自遊空間の名古屋土古店に泊まる。この店舗にはシャワーがある。

この店は、各部屋のドアに大きな穴が開いていて、外から見えるようになっていた。愛知県警からの指導らしい。

ネットカフェも泊まり辛くなって来たと感じた。

 

 

                                    第3ステージ 2日目

ひたすら西へ走る。岡山県倉敷市にある、自遊空間の倉敷下庄店に泊まる。

 

 

                                    第3ステージ 3日目

国道2号線を西へ進み続ける。

岡山県内では、道路の案内標識に書かれた、総社市とか真備とか船穂とかの文字を見るのが楽しく感じる。(90年代のアニメオタクにしかわからないディープなネタ)

 

広島県を通り過ぎて、ついに目的の県である山口県に入った。

山口県では周南市、山口市、下関市の3市でナンパをする予定だった。

まずは一番近い周南市に向かう。

 

覚悟はもう決まっている、恐怖はまったくない、わけはない。

「周南市まで後何キロ」という、案内標識の数字がドンドン少なくなってくる。それがまるで死刑へのカウントダウンのように感じた。

毎回毎回こりずによく緊張する事、と自分にあきれてしまう。

 

今回は第1ステージや第2ステージのような、遊びのナンパではない。結果を出さなければいけない。

とにかくゲットする!

セックスする!

ヤる!

女に突っ込む!

いやメスに突っ込む。

とにかく、感情を排除して、ドライに目的を達するのみ、と考えないとプレッシャーに潰されてしまう。

 

周南市の中心である徳山駅に到着した。車を停める場所を探したが、有料パーキングは結構料金が高い。

 

徳山駅の新幹線口側の方で、駅から徒歩5分ほどの場所で、駐車禁止にならなそうな道路を発見した。

駐車禁止の標識がなく、地元のナンバーがずらっと停まってる。

確実に大丈夫という保証はない。そこで通りかかった女性に、ナンパも兼ねて尋ねてみた。

女性がいうには、曲がり角から何メートル以内はダメという取り締まりは、良くやってるので気をつけた方が良いと言われた。

駐車禁止以外のことに話題を広げようとした。マスクをした女性だったので「風邪ですか?」ときいてみた。

女性は愛想笑いをしながら、曖昧な返事をして逃げていった。

 

曲がり角付近を避けて、車を停めた。

 

とりあえず1人に声をかけれた。これを繰り返していって20人には声をかけようと思った。

 

駅の在来線口側(新幹線口側の反対)にある繁華街でナンパをする。

声かけのパターンはいつもどおり、「今日は良い事あった?」で始めている。

2人目、3人目、4人目、と反応が悪い。

それに加えて人が少ない。夜7時ですでに人はまばら。店はシャッターだらけという状態だった。

 

5人目くらいだっただろうか。20歳くらいの女の子が笑顔で話相手になってくれた。

駅から遠ざかる方向に歩きながら会話をした。

この女の子はアニメや漫画が好きと言っていた。

月刊アニメージュとかニュータイプとかの、昔の火川が愛読していたアニメ雑誌の存在も知っていた、結構コアなアニメファンだった。

最近のアニメについて教えてもらったけど、火川は最近の作品にはうといので、良くわからず・・・。

結局この女の子は、ただ愛想良く会話をしてくれたというだけで、それ以上は何もなかった。

 

アニメ好きの子と別れて今まで来た道を戻って駅に向かう。駅に着くと、ヒョウ柄の上着を着た派手な人を目撃。

近くで見ると10代に見える。かなり若い子だった。声をかけると意外と愛想の良い反応だった。

さっきのアニメ好きの子とまったく同じルートを一緒に歩きながら話しをする。

このヒョウ柄を着た女の子は意外にも、これから予備校に行って勉強する所だとか。

「意外と真面目なんだね」と思った事をそのまま言ってみたら、「予備校ではヤンキー扱いですよ」と笑顔で返してくれた。

中々面白い子だった。

彼氏がいる、勉強が忙しいと、連れ出しも連絡先の入手も出来なかった。

一緒に歩いていると、女の子が通っている予備校についてしまった。本当に予備校生だった。

 

駅に戻ってナンパを続ける。ちょうど10人目に声をかけた女性がいた。

トラ柄(猫科が流行ってるんだろうか)の帽子を被った女性。一見派手な雰囲気。

手には・・・道具箱?工具を入れるような道具箱を持っていた。

 

「こんばんはー今日は良い事ありました?」いつもどおりの声かけで、女性は満面の笑顔を見せてくれた。

女性は名前をYさんと言って、年齢は34歳だった。

顔は中々キレイ系。派手なメイクとファッションだったが、ややぽっちゃり気味。

Yさんは広島の人だった。仕事で周南市に来ていたらしい。

今は仕事帰りで新幹線で帰るとか。

こっちの褒め言葉は何を言っても大ウケで、「その道具箱を持っている姿に一目惚れしました」という、火川の意味不明な言葉にも大ウケだった。

私が神奈川県から来ていることを告げても、反応は良かった。

 

会話が始まってほんの2、3分で、Yさんは突然持っていた道具箱を地面に置いた。

そして、肩にかけていたバッグからサイフを取り出すと、中から1枚の名刺を出して、「今は新幹線まで時間がないから、こっちにメールをしてもらえますか?」と言ってきた。

尋ねてもいないのに連絡先を教えてもらってしまった。

しかもYさんは「いつまでこっちにいるんですか?私もまた今度こっちに来ますから」と再会を希望するような事まで言っていた。

 

まさにナンパ大歓迎といった感じだが、ここまで都合が良いと、女キャッチじゃないかと疑ってしまう。

名刺の肩書きを見ると、そういうものではなさそうだけど、難しい肩書きで良くわからず。

名刺を見て悩む火川に、Yさんは「以前はコンパニオンをやってたんだけど、今はそれを指導する側になっているんです」と言っていた。

 

Yさんと別れて、ナンパを続ける。

合計15人の女性に声をかけたが、Yさんの後はなんの成果もなかった。

Yさんの後は、1人声をかけるのに20分はかかっている。それだけ本当に人がいなかった。

 

停めていた車に戻り、翌日は下関市でナンパをする予定だったので、下関に近い方向へ移動する。

山口県は大きくて、周南市と下関市の間は100キロも開いている。

数十キロの距離を消化し、宇部市にある自遊空間の宇部店に泊まった。ここもシャワーのある店舗としてチェックしていた店だった。

 

名刺に書かれていたYさんのアドレスにメールを出すと、「本当に送ってくださるなんてありがとうございます!」と、ハートの絵文字つきで大歓迎な返事が返ってきた。大丈夫だろうか・・・とちょっと怖い。

Yさんは2週間後にはまた山口に仕事で行くと言っていたが、流石に2週間後では遅すぎるし、どうしようこの人、と悩んでしまった。

顔は本当にキレイ系だったので、惜しいとも感じてしまって、本当に悩んだ。

 

 

                                    第3ステージ 4日目

出発前に自遊空間で食事をした。カルビ丼が美味しそうだったので注文した。

店員が届けに来た時に、どういうわけか声が出ない。「は・・・い・・・」と、なんか暗い挙動不審な人になってしまった。

昨日のナンパの反動だろうか。

ネットカフェの個室に1晩こもった後だと、心が閉じるというか、閉鎖的な気分になるのも影響していたのかも。さらに移動も車だから、個室状態だし。

あのネットカフェの店員の女性も、こんな暗そうな男が、ナンパの為にわざわざ山口県まで来たとは夢にも思っていないだろう。

 

下関市を目指して出発したが、まだ時間が早かったので、途中で見つけたイオンで少し時間を潰した。

イオンの駐車場に泊まっていた赤いフェアレディZ(いつか火川が欲しい車)がカッコ良かった。

どういう訳か、山口県に入ってからフェアレディZをやたらと目撃する。

(後日談だが、山口県にいる間に、フェアレディZを目撃した回数は7回に上った。Z33タイプが5台、Z34タイプが2台。日産本社がある神奈川県でもこんなには見ないのだが)

 

夕方、下関市に到着する。下関駅近くのパーキングに車を停める。

山口県で最大の繁華街といえば下関だと調べはついていた。それだけに、今回の旅で一番のポイントは、下関でのナンパだと思っていた。

 

18時過ぎ、駅の近くでナンパを開始する。

女性の数は多い。前日の周南とはえらい違いだった。

明らかにキャッチとおぼしき人もいるし、街に活気がある。

活気があるのは良いがそれだけに反応はあまり良くなかった。

10代から30代まで、最初の1時間で、大体15人くらいに声をかけたが、なんの成果もなかった。

 

合計17人目に声をかけた人がいた。年は20代前半で胸が大きいけど、ややポチャ。顔はかなりギリギリ。

女性は名前をKちゃんと言った。

履いてる靴がボロボロのスニーカーだったので、ガードがゆるそうと感じた。この辺りは有名ナンパ師の鍵英之さんの本の影響だった。

この女性に声をかけてみると、あっさりと連れ出しOKだった。

仕事が大変と言っていたので、ただ「息抜きしましょうよ、お茶でも飲みましょう」と誘っただけだった。その後に、やっぱりカラオケにしようと場所を変えた。

 

カラオケ屋でカクテルを進めると、Kちゃんはためらう事も無く飲んでいた。

歌も唄い、いよいよ迫ってみる。

キスはOK。タッチは胸も下半身の大事な所も、服の上から触る分には全然OKだった。

お尻に対するタッチは、Kちゃんが腰を浮かせてくれて、お尻を触りやすいようにしてくれるという驚きのサービスまでしてくれた。

 

これはいける!

顔がギリギリとはいえ、若さがある。ウエストが太いとはいえ、胸は巨乳。性的な魅力はちゃんとある女性だった。

山口県ゲット目前と興奮した。

 

Kちゃんに口でしてもらおうとした。それをお願いする。

Kちゃんは悩んでしまい、それを中々してくれない。

もう本当に目の前だった。いや口の前だった。その位置で、するか、しないか悩むKちゃん。

そしてついにKちゃんから一言、「ごめんなさい!やっぱり出来ません」と。

 

実はこの人、処女だった。性的な経験ゼロだそうだった。

タッチにはあまりにガードがゆるいし、感じてる様子だったし、すっかりと、地味だけどセックスの経験は多いタイプかと思っていた。

 

カラオケ屋を出る。ドライブに誘うとついてきたので、すぐにそのままラブホテルに直行する。

ラブホテルの駐車場についたが、Kちゃんは「いざ来ると、怖くなっちゃって」と降りてくれない。

結局急ぎすぎての失敗だった。

緊張と緩和が出来ていなかった。緊張させただけで。

しかしKちゃんの帰宅時間を計算すると、急がなければいけなかったのも事実だった。

 

ゲットは諦めて、Kちゃんを下関駅まで送る。

Kちゃんは申し訳なさそうに謝ってきて、カラオケ代は全額を払いますと言って来たが、受け取る訳にはいかないので断った。

本当に良い子だった。怖がらせてしまって悪い事をしてしまった。

 

Kちゃんと別れ、次のターゲットを探すが、やる気がわかない。

カラオケ屋での出来事は思い出すと本当に惜しい!と感じてしまう。

後一押しだった。Kちゃんが迷っている間に、(例えじゃなくて)一押ししていれば、山口県は達成だった。

 

やる気がわかない事に加えて、周南よりは人の多い下関も、夜9時になってくると女性もまばらになってくるのでターゲットがいない。

結局Kちゃんの後は、ポツリポツリと数十分ごとに女性に声をかけて、合計23人の声かけでこの日は終了した。

 

自遊空間の下関店に泊まる。

 

ここで急展開。

前日周南市で名刺をもらったYさんとのメールのやり取りで、広島でならば、明日会えるとの事。

広島でゲットしてもルール的には山口県を達成した事にはならない。出会った県内でコトに及ぶ、と言うのが自分で決めたルールだった。

でも、ルールの方が問題じゃないかと以前から思っていたのも事実だった。

とりあえず、Yさんをゲットできるならば、出来る時にしておこうと思い、翌日は広島に行く事にした。

 

 

                                    第3ステージ 5日目

山口県下関市から広島県広島市へ、第3ステージで初の東への移動だった。

ついに帰路についた様な感覚だが、まだ山口県を達成していない。また山口県に来なければいけない。

翌日以降、また山口県に戻ってきて、下関市または山口市でナンパをしなければいけないと思うと、すでに気が重い。

周南市で出会ったYさんや、下関市で出会ったKちゃんといった、成功を予感させてくれる女性の存在はあったが、それでも気が重いのが事実だった。

 

下関→広島間は国道2号をただ進むだけなので、何の問題もなく広島市に到着する。

車をパーキングに入れて、街を歩く。

Yさんとの待ち合わせ場所である流川・中央通りのパルコ前に到着した。

 

まだ時間が早かったので、最近のナンパのノルマにしている10人声かけを行ってみた。

パルコ周辺で10人に声かけ。

この周囲はキャッチが多かったが、女性は愛想の良い人が多かった。みんな逃げ腰だったけど。

 

音楽を聴いていて、体の動きがリズムに乗っている女性がいた。「音楽関係の方ですか?指揮者ですか?」と言ってみた。

女性は驚いて、怪訝な顔、っていうか恐怖の顔でこっちを見てる。

「ナンパですよ」と素直に伝えてみると、女性は凄く柔和な笑顔を見せてくれて、そのまま逃げていった。

心が恐怖や驚きで凍り付いているのが手に取るように分かった。それなのに顔はそれを微塵も感じさせないとろけるような笑顔。女の演技力ってすごいと思った。

 

パルコの前に戻り、Yさんを待つ。

しかし、緊張する。10人ナンパを終えて、緊張が解けたかと思いきや、1ヶ所にとどまって女性を待つというのは、ナンパとは違う緊張感がある。

しかも、Yさんはちょっと怪しい感じの人だし(失礼)。

 

火川勇気はナンパの世界に飛び込む5年前、テレクラや出会い系サイトで女性と会うことをおぼえた。

当時は風俗しか女を知らない男だったが、テレクラと出会い系サイトで数人の女性と性的な関係になる事ができた。

だが、ほんの1年程度で、ほとんど女遊びは止めてしまったのだった。理由は緊張するから。

こんな理由で止める奴は私くらいだろう。

特に待ち合わせの時の緊張感は本当に苦手で、出会い系サイトの女性と会う前に、緊張し過ぎて下痢になり、コンビニのトイレに駆け込んだ事もあった。

 

Yさんからメールが来る。

「パルコ前襲撃体制整いました!」、

「ザルのごとく飲み散らかしますからお覚悟を!」と、

かなりテンションが高いYさんのメールのお陰でやっと緊張は解けてきたのだが、「飲み屋を予約しています」というメールをもらい、これってぼったくられるパターンでは?と一瞬焦る。

しかし、そのお店とはチェーンの居酒屋の「土間土間」らしい。ホッと安心する。

 

パルコ前を襲撃してきたYさんと、2日ぶりに再会した。

Yさんは、「これ見よがしにヴィトンのバッグを持っていきます」というメール通りに、これ見よがしにヴィトンのバッグを持っていた(そのままじゃん)。

またトラ柄の帽子を被っていて、胸の谷間を強調する服を着ていた。やっぱり派手な雰囲気である。

 

土間土間に入り、飲みながら話をする。

Yさんは以前は東京の大学に通っていて、夜は六本木のキャバクラで働いて学費を稼いでいたらしい。

それ以外にも水商売関係を色々やってたとか。ちょっと前まではデパートガールをやっていたらしい。

確かに顔は良いが、ルックスで稼ぐには、ちょっとスタイルが物足りないと思ってしまったが、最近病気にかかった影響で10キロ以上激太りしてしまったとか。

元の体重は30キロ台との事。

 

1時間くらいだったが飲みながら、Yさんの今の仕事の話とか、昔の仕事の話とかを聞かせてもらった。流石に水商売のベテランだけあって、話が上手い。火川は緊張なんてすっかり忘れて楽しく飲んでしまった。

普段は酒を飲まない火川と、飲みのプロのYさんでは、会話で勝負になるはずはなく、会話は終始Yさんのペースだった。

 

ところで、Yさんからきいた話では、以前東京で水商売を始めるにあたって、紹介所のような所にいったらしい。

そこで、この業界ではじめて働く事を伝えて「なるべく安心して働ける場所をお願いします」、と頼んだら、「だったら六本木が良いね」と紹介されたらしい。

六本木って安心できる街なのか?と私はかなり驚いた。

火川勇気は新宿でよくナンパをしていたが、六本木は怖いイメージがあって近寄れなかったので、意外だった。

Yさんいわく、東京にいる時は新宿は怖くて近寄れなかった、との事。

結局お互いに思い込んでいただけなのだろうか、と感じた。

 

酒も進み(と言っても火川は2杯しか飲めなかった)、タッチをしたかったが、対面の席なので手を握る事くらいしか出来ない。

Yさんの手を握ると、Yさんはその手を胸に押し付ける。

もう、向こうも完全に「その気」だった。

 

とりあえず店を出ようと言う話になった。

私が土間土間の会計を支払おうとすると、Yさんに止められて、Yさんがおごってくれた。

エレベーターの中で抱き合ってキス。まったくなんの問題もなし。

土間土間を出た後はカラオケ屋に行こうという話だったが、カラオケ屋を通り過ぎて、あらかじめ調べておいたラブホテルに向かう。

手を引っ張ってホテルに入った。なんの拒否もなくゲットだった。

 

当初は少し怪しいとすら感じていたYさんだったけど、それは誤解だった。

Yさんはただ異性を求めていただけだった。

私も言うまでもなく、異性を求めてここまで来ている。

ただの男と女だった。

 

あまりにもあっさりし過ぎた成功だった。ただ当たりを引いただけといった感じの成功だった。

多分、病気の関係で体重が増えてしまい、自分に自信がなくなったちょうどそのタイミングで声をかけたから、ナンパされた事が嬉しかったのだろう。

本当にナンパと言う物はタイミングや運がとても大事だと気付いた。

まあ、自分でどうにかできる物ではないから、気付いてもしょうがないと言えばしょうがないのだが。

 

ホテルでの事後の会話で、Yさんからこんな事を言われて驚かされた。

「昨日の山口の女はどうだった?」

男を良く知るYさんにとって、男の1人旅がどういうものかは分かりきっていた。

さらに、「明日は岡山の女を食うんでしょ?」とからかわれる。

「いや、Yさんだけだよ」と言って見たけど、「ふうん」と笑われただけだった。

年上の女性には勝てません。

 

数時間後、ホテルを出る。車でYさんの家の近くまで送っていった。

ホテルでの会話から一転して、車内では漫画の話を良くした。

Yさんはジャンプ関係の漫画はよく見ていたらしい。

特にスラムダンクが好きだとか。

この日待ち合わせに使ったパルコがあるすぐ近くには、流川(ナガレカワ)という地名があるが、それを「ルカワって読んだよ」と言って見たらウケていた。Yさんいわく、「みんなそう読む」との事。

スラムダンクの話が続き、Yさんが言うには、漫画の最後に出てくる広島インターハイで、キャラクター達が宿泊する旅館は、スラムダンクの作者が広島までやってきて実際にある旅館を取材したらしい。興味深い話だった。

ちなみにYさんが好きなキャラクターは、炎の男・三井だそうです。

 

Yさんを家の近くまで送って別れる。

 

とりあえずポパイの吉島店に移動した。ポパイは旅先でははじめて利用するが、神奈川にもあるネットカフェだった。

 

私は非常に悩んでしまった。Yさんをゲットする事が出来たが、山口県で出会って、広島県でゲット。これでは山口県を達成した事にはならない。

Yさんがまた山口県に来てくれれば、そこでもう1回セックスが出来れば、達成した事になる。

けれど、これってルールの方がおかしいのでは?自分で決めたルールだけど、関東地方でナンパをしていた時にも、ルールの方がおかしいのではないかと思っていた。ルールを改正して、山口県を達成した扱いにしようかとも思うが、それでは甘すぎる。

自分に都合のいいように変更していたら、それはルールではないし。

 

Yさんが次に山口県に来るのは、2週間は先らしい。それまでは待てない。

かといって、また山口県に戻って、またナンパをするのは・・・。

 

頭を抱えて悩んでいるうちに寝てしまった。

 

 

                                    第3ステージ 6日目

朝、まだ悩んでる火川。

山口県にもう一度行くか?それとももう帰るか?

悩みながらポパイを出る。

 

どしゃ降りの雨だった。

 

「巷に雨の降るごとく・・・」、ヴェルレーヌの詩をつぶやく火川勇気。全然意味合ってなかった。

火川にドクターテクスの真似は無理だった(90年代のアニメオタクにしかわからないネタ)、

サン・ジュスト様&薫の君を気取るのはさらに無理だった(90年代の・・・以下略)。

 

真面目な話、車の中に移って悩み続けて、悩み続けて、そして、帰る、という事で結論が出た。

 

1日中雨が降り続く中、国道2号を走り続けて大阪まで行く。

国道1号に切り替わってさらに少し進み、左手にある快活クラブの枚方店に泊まった。

 

 

                                    第3ステージ 7日目

最終日も1日中雨だった。

名古屋周辺を高速を使ってショートカットし、後は国道1号をひたすら走り続けた。

箱根山中で、霧が出てくるわ、先頭だわ、煽られるわ、と非常に恐ろしい思いをする。

他は特に何もなく、無事に到着。

達成感があるような、ないような、微妙な気持ちでゴールした。

 

 

                                    旅を終えた感想

ルールの方が間違っていました。

以前から、出会った都道府県内でゲットしてその都道府県を達成したとする、というルールはおかしいと思っていました。

関東でのナンパでもそのルールのせいで、面倒な事になっていました。

おかしいとわかっていたのに放置していた自分の責任でした。その結果、旅の間無駄に何時間も悩むはめになりました。妙な罪悪感まで感じるはめに。

自分で決めるルールなのだから、もっと良く考えて決めるべきでした。あさはかだったと反省しています。

 

自分に甘いと笑われると思いますが、今回から出会った都道府県と、ゲットした場所の都道府県が違う場合には、出会った都道府県を達成した扱いとします。

今回は山口県で出会った女性を、広島県でゲットしたので、山口県を達成したとして扱います。

 

今回ゲットしたYさんは、山口県に入って声をかけてたったの10人目の女性でした。ただのラッキーだったのですが、そのラッキーに繋がる事がありました。

それは第1ステージ3日目に、青森県で竜飛崎から北海道を眺めた事です。つい北海道に行きたくなってしまった。

そして、第2ステージが終わった後、ナンパと無関係の北海道旅行に行ってしまいました。

その結果、第3ステージの出発が1週間も延期になりました。

 

ナンパはわずかなタイミングのずれで、女性と出会ったり出会わなかったりします。

出発が1週間もずれれば、当然旅先でナンパをする時の女性との出会いもガラっと変わります。

結果論だけど、北海道にナンパと無関係な旅で1週間を費やした事が、山口県周南市での「ナンパ大歓迎」的なYさんとの出会いに繋がったのは紛れもない事実でした。

 

しかし本当にYさんと出会えたのは嬉しかった!声をかける女性がみんなYさんみたいな人だったらこの世は天国です(笑)

3度目のナンパ旅行で、札幌で出会ったKさんと言う女性や、関東でのナンパで千葉県で出会ったSちゃんもそうだったけど、とにかく明るくて性に対してすごくオープンだった。

性的な事に全然負い目がなく、明るくて堂々としている人たちだった。

願わくは、これからはこういう女性達が増えていって欲しいものです。

 

今回の第1ステージ、第2ステージでは普通の旅行がメインなのに、そこに軽くナンパを混ぜてしまい、それは失敗だと思いました。

普通に旅をしていても、「数日後にはナンパをしなければいけないのか」、などと思うと、どうしてもプレッシャーを感じてしまいました。

次回以降はナンパ旅行と普通の旅行はきっちりと分けようと思います。

ナンパ旅行を終えた後、目的の県をゲットした達成感の余韻に浸りながら、バイクでゆっくり1人旅。

次からはそんな風に出来たら理想です。

 

 

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