〜これまでの、あらすじ〜(前編、中編のあらすじ)

鹿児島の女性をゲットする!最低でも出会い系サイトを使って九州のどこかの県を1つでもゲットする。そんな目標を立てて出発した火川。

渋滞にはまり、長崎県で出会い系の女性に会い、宮崎県では出会い系の女性にドタキャンされ、予定が遅れまくってようやく鹿児島県に到着。

すでに疲れ果てていて、いまいちナンパをする気が起きない火川。おまけに桜島の火山灰が鹿児島の街中に吹き荒れている。

なんとか自分を奮い立たせ、東京並みに反応が悪い鹿児島の女性たちに声をかけ続ける。

繁華街で合計68回の声かけの末、ガードがゆるい女性とめぐり会って目標を達成。旅に出て8日目の夜の出来事だった。

 

 

                                        9日目

昼頃目が覚めると、喉がガラガラだった。前日の火山灰の影響だろうか。

 

宮崎県都城市でナンパして、車に乗せてもらったりした親切な女性Kちゃんに久しぶりにメールをした。

あわよくば再会できないかと思ったけど、予定が合わず再会はならなかった。Kちゃんは今度友人の結婚式で東京に行くらしいので、その時に予定が合えばまた会おうという事になった。ずいぶん先の事みたいなので、期待は出来ないけど。

 

ネットカフェを出て北上する。出発してすぐに猪丼700円と書かれた看板を発見する。いのしし丼を食べてみた。

いのしし丼の味はちょっといまいちだった。600円の黒豚丼にすれば良かったかと思った。良く考えれば当たり前だった。いのししを家畜として改良したのが豚なんだから。

 

3桁台の国道をいくつか経由し熊本県へ。水俣病で有名な水俣市を通る。旅の2日目には四日市喘息で有名な三重県四日市市も通ったし、この後帰る地元の川崎市は、日本一空気が汚いとまで言われていた所。まるで全国公害巡りツアーみたいだと苦笑してしまった。

 

熊本市から阿蘇の方向に向かう。阿蘇のやまなみハイウェイを通る予定だった。ここはバイク乗りの南の聖地と呼ばれる場所で、火川もバイクで走りまわった事があった。すでに日が暮れてたので景色は見れないけど、車で走れる事を楽しみにしていた。

熊本市から国道57号線を数十キロ進み、細い県道に入って、いよいよやまなみハイウェイのエリアに突入した。すると突然白い霧が立ち込めてきた。霧は急激に濃くなり、まるで雲の中に突入したかのように、周囲が真っ白になる。

私の車のライトは白い光を放つキセノンランプなので霧との相性は最悪。視界が遮られると4輪車は幅があるだけに、何かにぶつかるんじゃないかという恐怖感が凄かった。

夜の山の中で、深い霧の中を走るのは恐怖以外のなにものでもなかった。

限界を感じて今来た道を戻ろうとしたけど、山道の中ではUターンの場所もなかなか見つからず、途方に暮れてしまった。

突然前方に人工的な明かりを発見。自動販売機の光だった。何故こんな場所に自動販売機があるのかはわからないけど、建物(民家?)もあり、Uターンにちょうど良いスペースもあった。ここで転回して来た道を戻った。

 

国道57号に戻り、大分方向に進む。九州の東側にある大分県から国道10号に移り福岡県まで北上した。道の駅しんよしとみで車を停めて眠った。

 

 

                                       10日目

道の駅を出発して、国道10号線を北上する。この日のうちに神奈川県まで一気に帰る予定だけど、本州に渡る瞬間は味気ない高速道路ではなく一般道で上陸したかった。

思ったよりもかなり時間がかかって、関門トンネルに到着。トンネルを抜けて1週間ぶりに本州に戻る。

 

下関から高速に乗り、ひたすら東を目指した。快調なペースだった。

しかし山口県から広島県へ、そして岡山県に差し掛かったとき、突然体調がおかしくなってきた。

ハンドルを握る手がビリビリと痺れてきた。まるで酸欠か貧血か、酸素が腕に行き渡っていないような感覚。次第に頭痛がするようになり、頭がフラフラとしてくる。時速100キロで走りながらこの感覚は、本当に命に関わる。

パーキングエリアを見つけたので逃げ込んで休んだ。水分不足かと思い、スポーツドリンクを買って飲んでみたが、一向に良くならない。それどころか時間が経つにつれて悪化してきた。

とてもではないが、今日神奈川県に帰るのは無理と判断した。ほんの数十分前まではなんの問題もなかったのに。あまりにも突然の体調変化に自分でも驚いた。

 

この日はまだ土曜日。翌日も仕事は休みだった。1日もうけておいた予備日を使って、この日はこの付近で宿を取る事にした。

笠岡インターで高速を下りた。体調はさらに悪化して頭痛がひどくて、呼吸まで乱れてきた。この状態で運転するのはかなり危険だった。

高速を下りた所にある街、岡山県笠岡市には宿泊施設は見つけられなかった。地図を見ると、九州方向に少し戻れば広島県福山市がある。ここは以前にも泊まった事がある街なので、福山市に行く事にした。

福山市までの10キロ程度の距離がかなり長く感じた。福山市でビジネスホテルを見つけて駆け込んだ。

 

ホテルの部屋を取ったあと、近くのコンビニに飲み物を買いに行った。スポーツドリンクを買っておきたかった。車の運転はこの体調では危険なので、歩いて行く。

買った2リットルのペットボトルを持つとすぐに手がしびれてくる。たった2キロの重さなのに。両手で抱きかかえるように持てば楽かと思いきや、今度は両手ともヒジから先がしびれてくる始末だった。

部屋に入りベッドに倒れこんだ。時間はまだ夕方4時。熱が出てきて汗だくになった。呼吸も辛い。とても動けない。

喉の痛みと頭痛が辛い。特に頭痛は後頭部に心臓でもあるのではないかと思うくらいズキンズキンと鳴り響く。「脳のやばい病気ではないのか、動脈瘤でもあって、それが破裂した時に俺の人生が終わるんじゃないか」と本気で弱気になった。

 

意識は混濁して、ふと気が付いて、「5時間くらい寝てたかな?」と時計を見る。たったの40分しか経っていなかった。後どれくらい苦しい時間が続くのかと、がっかりした。

・・・という夢を見た気がした。夢なのか現実なのかもわからなかった。がっかりしたという感情と、その後も長時間、苦しい時間が続いたのだけは覚えている。

 

眠れたのか、眠れなかったのか、現実と夢の間を行ったり来たりしながら10数時間が経った。

 

 

                                       11日目

朝6時、ベッドから起きる。頭痛は止まり、体は軽かった。14時間も横になっていて、体はほぼ回復していた。今回の旅は無茶が続いていた。そのツケを一気に払わされたという事だと思った。

福山市を出発した。笠岡インターから高速に乗って神奈川県を目指す。大阪、愛知と混みそうな場所も問題なくクリアし、関東が近づいてきた。

 

途中、給油のために浜名湖サービスエリアに立ち寄った。しかし、体調は良くなっても声だけはむしろ悪化していた。ガラガラの声でまともにしゃべれず、ガソリンスタンドで恥ずかしい思いをした。

火川「れゆあーまんたんえんきんで」

店員「はい。レギュラー満タン現金ですね」

一瞬で解読してくれた店員が頼もしかったけど、死ぬ程恥ずかしかった。

店員「窓を拭きますか?」

火川「あい」

もう浜名湖サービスエリアには行けないと思った。

サービスエリア内では美味しそうなイカ焼きが売ってたけど、それを日本語で注文する自信がなかったので買えず。

 

その後は問題なく一気に神奈川県に到着。無事に帰宅する。4度目のナンパ旅行が終わった。

「ナンパ」の部分よりも、「旅行」の部分でなにか失敗したような気がするナンパ旅行だった。

 

いつもより低い声しか出ず、ゆっくりしか話せない私は、戦場カメラマンの渡部さんみたいだと家族に大笑いされた。

 

 

                                     旅を終えた感想

とにかく、鹿児島で会ったMちゃんに救われた旅でした。

GWの渋滞を侮り、予定が遅れ、遅れを取り戻すために無茶をして、身体のリズムが狂って体調を崩してしまった。

肝心の鹿児島でのナンパを始める前に体力も精神力も消耗してしまいました。いざ本気でナンパをしようとしたら火山灰が街中に吹き荒れていたりと運も悪かった。

半分諦めかけていた時に出会ったMちゃんは、まさに救いの女神でした。次の看護師の国家試験は是非合格してもらいたいです。

 

旅が終わって帰ってきてから体調を崩して、仕事を休みがちになってしまいました。

特に体調が悪かった時には、前日の23時から翌日夕方18時まで19時間も布団の上でした。旅に出て2日目に、休憩を挟みつつも無茶して1日に19時間運転したことがありましたが、その時の無茶がそのまま返ってきたと思わず布団の上で苦笑してしまいました。

 

今回の旅がきつかった理由として、4輪車の旅を舐めていた事も理由でした。

バイクで日本一周をした経験から、車なら無敵だと思っていたけど、バイクにはない強烈な眠気との戦いや、車中泊の時の車内の温度など、思ったよりもずっと大変でした。車中泊の時は窓をふさいで直射日光が入らないようにする必要性を感じました。

 

ヒゲについては、旅に出る2日前に毛抜きで引き抜き、旅の間は一度も剃る必要がなかったので、抜いた効果は十分にありました。

 

今回はショッピングセンターなどの店内のナンパを何度もしていますが、こういった場所では女性のガードは思った以上に固かった。

またストリートでも2人組み女性は話していて楽しかったりするけど、上手く行くかどうかはまた別問題。結局はナンパの基本中の基本である、ストリートで1人歩きの女性に声をかけるのが一番良さそうです。

また、成功率を見ると、

初めてのナンパ旅行では、青森県で1回の声かけで、その1人とベッドイン。成功率は100%。

3度目のナンパ旅行では、北海道で札幌市に限って数えて23回の声かけで、口でしてくれる女性と出会っています。成功率は約4.34%。

そして今回は、鹿児島県で鹿児島市に限って数えて68回の声かけで上手く行ったMちゃんと出会いました。成功率は約1.47%。

ナンパに慣れるにしたがって成功率がドンドン落ちている。ビギナーズラックはナンパの世界では本当にあるのかもしれません。

 

宮崎県の出会い系サイトの女性には、振り回されて時間を消耗し、メールをもらう度に一喜一憂させられ無駄に精神力を消耗させられました。長崎県の出会い系サイトの女性はあっさりゲットをさせてもらったけど、ゲットしたこっちがダメージを負ったりと、もう出会い系サイトはこりごりだと思いました。

そして、鹿児島県でゲットしたMちゃんや、宮崎県都城ですぐに打ち解けて話ができたKちゃんなど、ナンパした女性の中には、出会えた事に爆発的な喜びを感じられる相手もいました。

私は今後はこの喜びのある出会いを求めて、全国制覇の手段はナンパ1本に絞ろうと思います。元々全国制覇のための手段の1つとして始めたナンパだけに、これでは本末転倒かもしれないけど、それでもナンパの可能性にかけてみたくなりました。





(2016年 追記)

ここの最後の言葉は後になってとても後悔していました。

世の中にはナンパで生計を立てているプロもいる中で、自分のような半端なナンパ男がナンパ師を気取って申し訳なかったです。

私はあくまで全国制覇の1手段としてナンパを開始したのに、手段の為に目的を忘れていました。

2014年から再び出会い系サイトの使用を解禁していますが、それまでの3年間は焦りとプレッシャーを無駄に感じ、解禁後は妙な罪悪感を感じていました。

気負って言ってしまった一言は、かなり後まで響いていました。



この旅でゲットした長崎のぽっちゃりした子について

本文中で悪く書いてしまって申し訳なかったです。

今ならば感謝できます。あの頃は未熟でした。






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