3度目のナンパ旅行

2010年8月〜9月、3度目のナンパ旅行は北の大地・北海道へ行った。乗り物は長年の愛車である250CCのビッグスクーター。

この2年前、私は念願の北海道旅行に行った。しかし消極的な性格が災いして、旅を全く楽しめずに終わった。そのとき感じた虚しさが、後に私をナンパの世界に走らせたきっかけだった。

本当は全国制覇の最後に取っておこうと思った北海道だったが、あえてこのタイミングで挑んでみた。

北海道に強いこだわりがあったので、先にそのこだわりをリセットすることができれば、今後全国に挑みやすくなるのではないかと思ったからだった。

今回の旅では、北海道で積極的に好みの女性に声をかけること自体が目標だった。自分が積極的な性格に変われたことを自覚するための旅だった。

 

 

                                        出発前

出発の2週間ほど前から行動を開始する。まずは出会い系サイトで相手を探す。ゴールデンウィークに行った東北旅行のときと同様に、まずは無料サイトのスイートビーチを使った。やっぱり反応はほとんどなかった。

次にポイント系サイトのワクワクメールとハッピーメールの掲示板機能を使って相手を探した。毎日掲示板を更新し続けると、次第に女性からメールが来るようになった。

 

ワクワクメールで旭川の女性とやり取りが始まるが、向こうは援助交際の相手を探していて話が合わなかった。しまいには、「タダで会うようなボランティア女なんて絶対いるわけないでしょ!」と断言されてしまった。女性と出会う度に男はお金を払わないといけないならば、出会い系サイトもテレクラも、そしてナンパも、全部成立しなくなってしまうと思うのだが。

女性は、自分の考えは世間のみんなと一緒だと、根拠もなく思い込んでいる人が多い気がする。しかし私が感じたところでは、女性の性格は非常に千差万別。男性以上に個性の強い人が多い気がする。

女性は、「みんなと一緒であることはすばらしい」、と考えている人が多いようだが、実際には個性的な人が多い。男性は逆で、「みんなと違うことがカッコいい」、と考えてるくせに、実際は型にはまってる性格の人が多かったりする。

男女の性格ってない物ねだりなんだろうか。旭川の女性と出会い系サイトでメールをしながらそんなことを考えていた。

 

数日後にワクワクメールで、函館の女性とメールをするようになった。今度はその函館の女性は、尋ねてもいないのにメールアドレスを教えてくれた。なんでも彼氏が単身赴任でさびしいとかで、話し相手が欲しいようだ。この女性とのメールのやり取りは、私が北海道につくまで続くことになる。

旅立った後も、出会い系サイトの掲示板は毎日更新し続けてみた。

 

 

                                        1日目

初日。この日は平日だったが、仕事の後に出発した。

まずは地元の川崎で金山神社にお参りをした。前回ゴールデンウィークの旅に出る前にも行った、巨大な男性器の御神体がある神社だ。前回は可愛い猫が擦り寄ってきたのだが、今回はいなかった。こんなことでも、前回とはなにかが違う・・・と、ちょっと不安になった。

羽田空港から首都高速に乗り、一気に埼玉まで行った。その後は国道4号線を北上して宇都宮に行く。

 

宇都宮に到着したのは深夜1時頃だった。立ち寄ったコンビニで、1人の女性を発見した。私は店の前で待機して、女性が出てきたところを声をかけようと考えた。しかしその女性は、雑誌のコーナーや食べ物のコーナーを行ったり来たりを繰り返していて、一向に店から出てこない。ただでさえナンパは最初の1人目がすごく緊張するというのに、焦らされまくり、もう限界だった。この日はナンパはあきらめた。

 

泊まる予定のネットカフェに向かった。一軒目の自遊空間は横になれるマット席がいっぱいだった。今までの旅で初めての経験だった。宇都宮にもう一軒ある自遊空間に泊まったが、冷房が異常なほどきいていて、すごく寒かった。

 

出会い系サイトでメールのやりとりが始まり、1週間以上メールをしていた函館の女性から、「29日に出張中の彼氏が一時帰宅する」という話をきく。私は思わず頭を抱えてしまった。函館に到着する予定が同じ8月29日だった。

 

 

                                        2日目

2日目。宇都宮を出発。外はすごく暑く、気温は30度以上は確実にあった。ネットカフェの中は冷房がききまくっていたので温度差がすごい。

国道4号線をしばらく進むとイオンの看板があった。そのイオンは、国道から数キロはずれたところにあるようだった。今後のナンパの旅では、こういった地元の人が利用しそうなスーパーもナンパ場所にする予定なので、様子を見るために行ってみた。

 

1人でショッピング中の若い女性は意外と多かった。数人の女性を観察したが、1人かと思ったら近くにお母さん(?)がいたというパターンもあった。度胸さえあれば、イオンのようなスーパーの中もナンパ場所として使えそうと感じた。他にはコーラとサイダーが1缶29円という安さで売っていて、思わず1缶ずつ買ってしまった。

店を出て自分のバイクに向かうと、私のバイクのとなりに渋いバイクが停まっている。荷物がいっぱい積んであって旅をしてるのは一目瞭然だった。程なくしてその持ち主が現れた。20代中盤くらいのお兄さんだった。バイクでの旅人同士、目的地やバイクの話をした。そのお兄さんは青森の大間まで行くらしい。ちょうど良いタイミングだったので、あまっていたサイダーを1缶をあげた。「お気をつけて」とお互いに手を振り合って別れた。

 

走り出してふと気づいたことがあった。イオンで会ったバイク乗りのマシンは、かなり改造してあったけどヤマハのSR400という車種だった。1年前に東北に旅に出て、初めてのナンパをした日、まずは準備運動とばかりにコンビニの前にいたバイク乗りの男に話しかけたことがあった。そのときの人のバイクもやはりSR400だった。ちなみにそのときの旅では、青森県で1人の声かけで大成功を達成している。1年前を思い出させてくれる旅の出だしだった。今回の旅も素晴らしい出会いがあるのではないかと感じた。

 

イオンを出発してまたしばらく進むと、急に空模様が怪しくなり雷がなり、雨が降り出してきた。4ヶ月前のゴールデンウィークのときも、この付近で突然雨に見舞われた。過去このルートで何度も旅をしてきたが、国道4号線で、宇都宮から福島県にかけて雨が降ることがやたら多い。

 

国道4号線を北上し続け、日も沈んだ頃、仙台市の数十キロ手前で立ち寄ったコンビニで1人の女性を発見した。今回の旅で初めてのナンパをすることにした。

コンビニの前で待ち伏せして店から出てきたところを声をかける作戦だった。しかし女性は店から出たと思ったら、間髪いれず目の前の自分の車に乗り込もうとした。あわてて声をかけた。とりあえず道ききで会話を始めた。

仙台までの道や距離を尋ねると親切に教えてくれる。今度は「仙台の方ですか?」と尋ねて出身地をきいたりで会話を延長した。かなりフレンドリーな女性で、突然降って湧いた私に対して、笑顔で世間話に応じてくれた。

コンビニで読んでいた雑誌の内容を尋ねると、おしゃれなカフェなどが載っている特集だったそうだ。カフェの話が出たので、「一緒にお茶を飲みませんか?」とストレートに誘ってみた。女性はちょっと困った顔を浮かべて「ごめんなさい彼氏に怒られるので」と言って断られた。申し訳なさそうな表情だったのが印象的だった

なんだかこっちも申し訳なくなったので、私からも一言お詫びを言ってその場を後にした。断られはしたけど最初の一人目から良い感じに話しが出来て満足だった。

 

その後は特に何事もなく、ひたすらに4号線を北上しつづけた。

この日は400キロ以上の距離を走り続けたが、疲労は思いのほか少なかった。やはり今回の旅の相棒のビッグスクーターは快適だった。GWの旅に使用したレトロバイクとは疲れ方が雲泥の差だった。オートマで楽だとか、荷物の収納力が高いのは当然だが、シートの座り心地が良いのは長距離の旅では大きなアドバンテージになる。今回の旅で改めて、ビッグスクーターが長距離ツーリングに向いているバイクだと感じた。

夜遅くに盛岡に到着。ネットカフェフリークスに泊まる。

 

 

                                        3日目

盛岡を出発して青森へと向かう。この辺りまで北上してきてもまだ暑い。30度以上はある暑さだった。

 

毎日掲示板を更新している出会い系サイトで、北海道苫小牧市の40代のYさんという女性からメールがきた。直アドレスも教えてもらい、話も弾む感じだった。このYさんは40代という年齢がちょっとネックだが、しかし1年前に青森で大成功した相手が40歳の美人だったので、「今回の相手も40代とはいえ美人かも」と期待してしまった。写真で確認もしないで勝手に盛り上がっていた。

 

青森市からフェリーに乗り、今回の目的地の北海道を目指す。フェリーに乗っているときに、出発前からメールのやり取りをしていた函館の女性にメールを出してみた。すると、「北海道へようこそ!」と返事が届く。翌日に出張中の彼氏が戻って来るらしいので、数通のメールのやり取りの後、「邪魔しちゃ悪いから数日たってからまたメールするね」と送った。函館の女性は「メールの件了解です!また後で」と快諾した様子だった。

 

いよいよ2年ぶりに北海道函館市へ上陸する。フェリーを降りるときに他のバイク乗りや旅人とも顔を合わせたが、私1人がとても浮いている感じだった。なにせナンパ目的で来ているわけで服装がやたらと気取っている感じなので。

 

フェリー乗り場を出てすぐにコンビニを発見する。出来るだけすぐにナンパを始めたかったので、そのコンビニでナンパをしようと思った。

しかしコンビニに近づくと、店の前で警備員が立っていることに気付いた。しかも、もう1人の警備員が店の中で、「振り込め詐欺に注意」と書かれたプラカードをもって立っていた。なんとも異様な光景だった。さすがにここでナンパをすることは出来なかった。いきなり出鼻をくじかれた感じだった。

 

コンビニのとなりにはツタヤがあったので、ここでナンパを行おうと思った。30代後半くらいの女性がラブコメ物の映画DVDを手にとって見ていたので、その映画について話しかけてみることにした。DVDのパッケージに見える俳優のヒュー・グラントをネタに話しかけた。女性はキョトンとしていたけど、すぐにちょっと強めの口調で「主人と一緒に来ていますので」と断られた。店内でのナンパはとても緊張したが、旅に出てる勢いでなんとかこなせた。

 

その後は五稜郭〜函館山辺りをバイクで走り、歩道を歩いている若そうな女性を見つけるとバイクを降りて話しかけてみた。この日は7人に声をかけたが、皆ガードが固く、軽い世間話くらいしか応じてくれなかった。

私が履いていた靴は靴音がコツコツと大きくて、静かな夜道でナンパすると、近づいただけで女性に警戒されてしまった。

 

この日は函館の自遊空間に泊まる。苫小牧市のYさんとメールし、翌日に会う約束を取り付けた。

 

 

                                        4日目

4日目は函館市から苫小牧市に向かう。

国道5号線を北上し、途中で森町に立ち寄って有名なイカメシを2パック食べる。国道沿いの道の駅で売っている物と、森駅近くで売っている物と両方を食べてみた。国道沿いで売っているイカメシは甘味が強く、森駅の方は辛口。ガソリンスタンドの人に聞いてみたら、森駅のほうが元祖イカメシの味だそうだ。

森駅でイカメシを食べていると、やはり1人でイカメシを食べている女性を発見。リュックを背負っていて旅人的な雰囲気が出てる。ナンパしてみたら東京から来ていた人だった。イカメシやらカニメシやらのネタで会話をしたが、愛想は良かったもののお茶に誘ったら結構ハッキリと断られてしまった。

 

再び出発。苫小牧市を目指して走り出した。苫小牧を目指している間、私は非常にワクワクしながらバイクを走らせていた。その名の通り出会い系サイト「ワクワクメール」で、苫小牧市のYさんと会う約束をしたからだった。しかもメールの内容はかなり過激で、そのYさんからは「ぶっちゃけ会ったらすぐにしたい?」とまで言われていた。これでワクワクしなかったら男ではない。だが40代という年齢はちょっと気になっていた。国道5号線を外れ、37号線、36号線を通り、夕方になって苫小牧市に到着。

待ち合わせ場所にYさんの車がやって来た。ついにYさんと対面した。「えっこの人?・・・」私は硬直した。

初めてのナンパ旅行で、青森県でナンパで出会い、口でしてもらった40代女性は美しい人だった。

2度目のナンパ旅行で、秋田県で出会い系サイトでゲットした40代女性も細くてスタイルの良い女性だった。

しかし今回のYさんは正直言って、40代よりもっと歳がいっているのではないかと思った。しかも太っていて、いかにもオバサンという雰囲気が漂っていた。申し訳ないがこのYさんに性的魅力は感じなかった。

だが私は全国制覇を目指す人間。好みの女性ばかりを狙っていては全国制覇など出来るわけがない。多少の痛みは覚悟の上。ゲット出来そうならどんな相手でもゲットする、そういうガムシャラな気持ちがなければ全国に挑む資格はないと思った。

私はYさんの車に乗り込むと、精一杯の笑顔を浮かべて挨拶をした後「さあ行きましょう」と言った。Yさんはすぐに近くのラブホテルに行ってくれて。北海道でのゲット達成となった。

ゲットした女性を悪く言いたくはないが、終わった後、私は逃げ出したい気分だった。

そのホテルは休憩2300円と格安だったが、それを払うのも惜しく感じてしまった。

 

苫小牧市でYさんと別れてからは札幌市を目指して走った。札幌市に入り突然雨が降ってきた。ちょっとブルーな自分の心境と重なった。たまたま見つけたブックオフで雨宿りをした。

1時間以上待っても雨は止まず雨具を着て出発しようとした時、ブックオフから素晴らしく可愛い女性が出てきた。自分の車に向かおうとしているけど、雨が強くて車まで行けない状態だった。私は持っていた折り畳み傘を広げて「もし良かったらどうですか?」と声をかけた。別にナンパというわけでもなく、ただ可愛い女性が困っていたので助けたいと思っただけだった。女性は最初は断ったけど、結局傘の下に入り車まで行くことになった。車までほんの20秒間くらいだったけど、短い会話で心が癒された感じだった。特に誘ったりはせずにそのまま別れた。後になってから、連絡先を書いた紙くらいは渡せば良かったとちょっと後悔した。


若くてルックスが良い女性と、若くなくてルックスも良くない女性とでは男の心に与える影響がすさまじく違う。それが身にしみてわかってしまった。だが、苫小牧でYさんをゲット出来たことによって、「とりあえず北海道を埋めることが出来た」と安心したからこそ、ブックオフの若い女性にも下心なしで親切に出来たのだろう。これがYさんに会えなかったら、ブックオフの女性にもガツガツした下心をもって声をかけてしまって、相手に不愉快な思いをさせてしまった可能性もある。

 

札幌の中心街に着くと雨はほとんど止んでいた。自遊空間に泊まって久しぶりにウイスキーをあおって眠りについた。

 

 

                                        5日目

昼頃に札幌のネットカフェを出る。札幌まで北上してもまだ昼は暑い。ちょっと動くと汗だくになってしまう。大事なのは夕方以降。それまで体力を温存する必要があった。ブックオフやダイソーを回って時間を潰した。

3日前までメールをしていた函館の女性にメールを送ってみた。すると宛先不明で返ってきてしまった。

彼氏が出張でさびしいから出会い系サイトに登録し、彼氏が戻ってきたから出会い系の男には用がなくなり切る。女性のやることは結構わかりやすいものだな〜と1人で納得した。

 

夕方四時頃、まずはナンパに行く前にテレクラに行ってみることにした。ここ札幌には関東でもおなじみのリンリンハウスがある。行ってみると、非常に寂れた感じのビルの3階にそれはあった。

2時間コースで入り電話を待つ。しかし、かかって来るのは援助交際のコールばかり。こちらが援助の相手は探していないと告げると、猛烈に悪態をつかれてガチャ切りされたこともあった。しかも、この人からのコールは何度もあり、その度に悪態をつかれた。5度くらいそれが続くと流石に私の声を覚えたのか、私が「もしもし」と言った瞬間に切られるようになった。合計10度以上はそんな電話があった。

 

そんな中でまともそうな相手からも一度だけ電話があった。その女性は今テレクラの前にいるという。「ご飯をおごるから会わない?」と言うとすぐに会う約束をしてくれた。テレクラを出て周りを見渡す、かなりポチャ系の女性がこっちを見て微笑んでいた。相当太っているけど、顔自体は悪くはなく、歳も30くらいに見えた。昨日の悪夢のような出来事(自分からゲットしておいてなんだが)を払拭するためにも、この女性をゲットすることにした。

その太目の女性は名をSさんと言った。Sさんと挨拶を交わしたあと、すぐに手をつないでテレクラの入っている暗いビルに連れ込んだ。

つないだ手は大きく、まるでグローブでも握っているような感じだった。ちょっと嫌だなと思ってしまう私。でも昨日のYさんと比べればずっと魅力はある方だ。

ビルの中の人気のない場所に行き、こっちから脱いで素直にお願いをしてみた。なんとかOKしてくれた。ここまで出会ってから1分程度だった。こんな短時間ですることになったのも初めてだし、こんなところでするのも初めてだった。

口でしてもらっただけだったが、ことを終えた後、Sさんは笑いながらではあるものの、「ふざけんなよ」と不快感を見せていた。それもそうだ、ご飯をおごるって話だったのにいきなりだったから。コンビニでタバコを一箱買ってあげたら機嫌が良くなった。Sさんはこの後はもう一度テレクラに電話をするらしい。今度はお小遣い稼ぎの相手でも探すと言っていた。私もテレクラに戻ったがその後はまともなコールはなく終了。

 

そしてついに、いよいよ、今回の旅のメインイベントである札幌の街でのナンパが始まった。やっぱりちょっと緊張気味。ナンパの前はいつも緊張する。

まずは街を散策。以前札幌に来たときも思ったが、札幌の街はとてつもなく広い。私の地元神奈川県の2大繁華街の横浜駅周辺と川崎駅周辺を足しても、札幌の繁華街には負けるのではないかと思った。札幌の繁華街の広大さは東京の新宿に匹敵するのではないかと思った。

一人歩きの女性3人に声をかけて肩慣らし。3人中2人が愛想良く答えてくれた。札幌は反応が良い。一昨日の函館とは全然違う好反応だった。

 

4人目に声をかけた女性がいた。その人は30歳ちょっとくらいの歳で、地味ではあるが顔もスタイルも十分魅力のある女性だった。話しかけるといきなり「すみません」と謝られてしまった。冗談なのか本気なのかその人は「可愛くなくてすみません」という意味で謝ったらしい。

他にもやたらと自分に対してネガティブなことを言っていた、しかし笑顔だし、しゃべり方も冗談っぽい。むしろノリが良いのかもしれないと判断してトークを展開。褒めまくってみたら、謙遜しつつも喜んでいる感じだった。こちらがバイクで旅をしていることを告げると、こちらにも興味を示してくれて色々質問されたりもした。

この相手はいけるかも!と調子に乗った私はタッチ技を行った。理由をつけながら髪を触ったり、肩に手を回してみたりしてみた。反応は悪くなかったので、道の真ん中だったのだが、ギュッと抱きしめてみた。相手はまだ笑顔。これはいける!と思ったら!、女性は携帯が鳴ったと言い出しメールをチェックし始めると、「ごめんなさい!」と言い残して走り去っていった。謝まられて始まり、謝まられて終わった女性だった。

おそらく、この女性は嫌だと言い出せないタイプだったのだろう。もっと慎重にことを運ぶべきだった。本当に謝らなければいけないのは私の方だった。勢いだけで相手の反応をよく見ていなかった。普段以上に下手過ぎるナンパをしてしまった。反省しなければいけないことだった。

 

8人目に声をかけた女性は20台前半くらいの歳で、ルックスはかなり可愛い。これから友達と飲みに行くところと言っていた。「僕も混ぜて下さい」と図々しくお願いして付いていった。その女性は友達との待ち合わせ場所がわからなくなっていて迷子状態だったので、一緒に待ち合わせ場所を探した。

その間にもいつものパターンで相手を褒めたり、自分の情報を出したり、相手の情報を聞いたりで基本通りのトークを展開。良い感じだったのだが、女性に友達からの電話が着信した。しばらくとなりで聞いていたが、長話になりそうだったのでそこで手を振って別れてきた。ちょっともったいなかった気もするけど、今はウォーミングアップ中。数をこなす方が大事と判断した。

 

12人目。声をかけたその女性は20代前半位の歳で、顔もスタイルもファッションも超派手だった。

日本人ではあるが、まるで外国のモデルのような感じの雰囲気の美女だった。ちょっと怖そうな雰囲気も漂っていた。話しかけると意外と反応が初々しい。札幌ではこれほどの美女もナンパ慣れしていないのだろうか。待ち合わせをしていると言っていたので、「どこの国の人と?」と聞いたら笑っていた。しかし会話のキャッチボールは長くは続かず、ちょっと気まずい雰囲気になりかけた。そして・・・。

ハッと気が付いた。私の前方数メートルのところに、いかにも暴力団風の男が立っていた。その男は私がナンパしていた女性と目を合わせている。その男はいかにも強そうなごつい体をしているが、身長はかなり低くアンバランスな感じで、それが逆に異様な雰囲気をかもし出していて怖かった。

一瞬で全身の毛が逆立つ感じがした。私は走った。全力で無我夢中で逃げた。後ろを振り返るとだれも追っては来ない。けれど足を止めるのが怖かった。普段は運動不足なのに全然疲れない。履いている靴はナンパ用のカッコつけた靴で、とても走るのには向かない。それなのに意外な速さで走れてしまう。すすきのの近くから大通り公園の近くまで私は走り続けた。

ベンチに座るとドッと疲れが出てきた。

体の感覚が平常に戻るにつれて、足の筋肉にぼわーっとした違和感を感じるようになった。走るのには適さない靴で無理をしたせいで、足の裏に軽い痛みを感じた。30分ほどの間ベンチから立ちあがる気力が沸かなかった。

 

「テレクラと出会い系サイトで女をゲットしたのだから、もうこれでいいじゃないか」と、頭の中でささやく声が聞こえる。だが北海道まで来てこれでナンパが終わりでは虚しすぎる。すすきの方面に近づかなければ多分大丈夫だろうと考え、大通り公園から札幌駅の方面でナンパを続けることにした。

 

札幌ナンパ後半戦スタート。大通り公園から札幌駅の間にもかなりの1人歩きの女性がいた。歳は20代後半くらいのOLらしき人が多く、さっきまでとは層が違う感じだった。反応率はさっきまでと変わらずみんな愛想が良い。中には制服姿の可愛い女子高生もいたが、声をかけたが完全無視されてしまった。

 

そして通算23人目。後半に限っては11人目にあたる女性に声をかけた。

すごく短いショートカットの女性。スタイルはスレンダーで私好み。歳は30くらい。顔も中々好みのタイプだった。

ナンパというものは、スムーズに行くときは本当にスムーズに行ってしまう。この女性Kさんがまさにそのパターンだった。最初に声をかけた時点で素晴らしく話が弾む女性だった。相手を褒める、今日あった出来事を聞く、自己紹介をする、こんな普通の会話をしているだけでKさんとの会話は盛り上がってしまった。飲みに誘うとすぐにOKしてくれた。飲み屋を探して歩いている間に話が変わり、Kさんはバイクに乗ってみたいと言い出した。二人乗りで近場を走りまわろうということになった。

大通り公園に停めてある私のバイクに乗り込む。二つ持ってきたヘルメットがここで役に立った。近場を走った後にKさんの家まで送り届けることになった。Kさんは後ろから密着するような感じでしがみ付いているので、私は興奮してきてしまった。走りながらラブホテルを探した。だが必死の思いで探すも見つからず・・・。無情にもKさんの家が近づいてくる。このままではただの良い人で終わってしまう。私は途中でバイクを停めてまたKさんと話を始めた。

今度は話題に下ネタも入れたりして様子を見た。十分に様子を見た後にタッチ技を試みる。反応は良い。抱きしめても好反応だった。Kさんもテンションが上がったのか、私の両手を取り振り回すようにグルグル回転し始めた。周囲の景色がぶれる、しかし同じ速度で回っているお互いの顔だけはハッキリと見える。世界中がぶれているのに、目の前の女性の顔だけはハッキリと見える。なにか不思議なときめきを感じた。

「初めて会った気がしないね」と私が本音で言うと、Kさんも「そうだね」と答えた。私はKさんを抱きしめて体を触った。さっきまでとは違う本気のタッチ。するとKさんは、「ダメだよ。我慢できないなら1人でして。見ててあげるから」とすごいことを言い出した。私は「わかった。じゃあ見てて」と答えた。流石に道路でそんなことをする訳にはいかない。近くを見渡すとちょうど良さそうな場所があった。

たまたまバイクを停めた場所の近くには工事現場があった。工事現場の入り口は門があったが、門の下は人がくぐれるくらいに空いていた。2人でその現場に忍び込む。私は弱気に言った「見つかったら怒られるかな」、Kさんは平然と答えた「散歩してたって言えば大丈夫だよ」。女性って肝が据わっているなと感心した。

工事現場の中には大きく盛り土がしてあった。その裏側に行くと道路からは全く見えなかった。夜空の星がすごく綺麗だった。私は服を脱ぎ、1人でするからKさんの体を触りながらさせて欲しいとお願いをしてみた。するとKさんは体を触ることを許してくれた。「ちょっと手伝って欲しい」と色々お願いしてみたらKさんはそれに答えてくれた。最後まではさせてもらえなかったが、口でしてもらった。野外でのこんな行為も初めてだった。

その後Kさんを家の近くまで送っていって、札幌の街に戻り、ネットカフェの自遊空間に泊まった。色々な出来事があった強烈な1日だった。

 

ネットカフェでKさんのことを考えていてふと思い出した。二人で潜入した工事現場、抱きしめあいお互いを求め合ったときのこと。精一杯優しく接していた私に対して、Kさんは言った、「これからもその優しさをずっと忘れないで」、と。あの言葉には一体どういう意味が込められていたのだろうか。本当に不思議な女性だった。

もうKさんとは会えないのだろうか。そんなことを考えながら私はいつのまにか眠っていた。

 

札幌ナンパでは、前半が12人に声をかけて8人が愛想の良い人だった。後半は11人に声をかけて7人が愛想が良かった。確率は関東よりかなり良さそうだが、たった23人程度の声かけではデータとしてはあまり意味がないかもしれない。

 

 

                                        6日目

起きると筋肉痛で足の痛みがひどかった。無理した反動はやっぱり翌日に来るみたいだ。足が痛いことと、札幌で予想外に早くナンパが成功したこともあり、予定を早めて帰ることにした。札幌を出発して函館に向かう。

 

途中で八雲町のコンビニに立ち寄ったとき、一瞬どこかのアイドルかと思うほど可愛い女の子がいた。その子はコピーを何枚かとるとすぐに去っていった。私は今回の旅では目的は果たしてしまったので、ひげも剃っておらず、服装もバイクの旅人らしい実用的な、悪く言えば小汚い感じになっていたので、とてもではないが、あれほどの美少女に声をかけることは出来なかった。完全に気後れしてしまった。

さらに同じコンビニに今度は女優かと思えるような美女が入ってきた。その美女は買い物を済ますと、自分の大きなミニバンに乗り込み颯爽と走り去っていった。カッコ良すぎる。

ルックスがとても良い女性2人に対して、立て続けに気後れしてしまった。バットを振る気すらおきずに見逃しの三振といった感じだった。この一件は、今後全国制覇に挑む上で、まだまだ私には問題があることに気づかされた。本当に自分は未熟者だと痛感させられた。

コンビニを出て国道に出ようとした時通りかかった若い女の子もかなりの顔立ちだった。八雲町は美人の里なんだろうか。

 

函館についてフェリーに乗り、ついに北海道の大地と別れた。青森の自遊空間に泊まる。自遊空間のHPには書いてなかったが、青森の自由空間にはシャワーの設備があった。以前に泊まった時にもシャワーに入ったことがあるので、なくなるわけはないと思ったが、HPの方がミスだったようだ。

 

 

                                     7日目〜9日目

7日目。青森を出発して、十和田湖を通り、国道4号線に入るとひたすら南下。福島まで行った。福島の自遊空間に泊まる。特に何もない1日だった。

 

8日目。この日帰宅予定だったが、栃木県でバイクが壊れる。駆動ベルト切れだった。ベルトが切れるとスクーターはもうお手上げだった。JAFを呼び、バイク用品店の南海部品にレッカー移動される。時間が遅かったので修理に1日かかると言われ、栃木県小山市で一泊することになった。

ネットカフェ「快活クラブ」を偶然見つけたのでそこに泊まった。このネットカフェは店の作りも綺麗で、無料で簡単な朝食をくれたりとサービスも凄く良かった。

 

9日目。南海部品では予約時間より早く修理に取り掛かってくれた。修理はすぐに完了して出発。

国道4号線を南下中に埼玉県で、「セブンイレブンまで711メートル」という看板を見つけてツボにはまって大笑いした。他には特に何もなく無事に帰宅。3度目のナンパ旅行が終わった。

 

 

                                     旅を終えた感想

北海道の旅を終えた感想。まさか札幌であっさりと、口でしてもらえる女性と出会えるとは思わなかった。これは本気で嬉しかった。私が全国制覇で一番ナンパをしたい場所が北海道、特に札幌だった。ある意味もうナンパを始めた最大の目的を達成してしまったような感覚だった。

だが良いことばかりだけではなく、ヤクザ関係者の女性にも声をかけてしまったりして、やはりナンパには危険な面もあると言うことを再認識した。走って逃げたら足を痛めてしまったりと、準備不足も目立った。

出会い系サイトとテレクラでの出会いをメインにしてはいけないかもしれないと感じた。今回北海道で出会い系サイトとテレクラで出会うことが出来たが、出会った女性のルックスはお世辞にも良いとは言えなかった。それでも積極的にゲットしに行けたのは良かったと思うが、出来るだけナンパで好みのタイプをゲットしていきたい。

本当にキレイな女性は気を抜いている時に突然現れたりするので、旅の間はいつでも身だしなみに注意して、ナンパできる状態を維持し続けないといけないと感じた。その為にもヒゲの脱毛は必要かもしれない。

旅のツールとして、今回は久しぶりにビッグスクーターを使ったが、やはりその快適性はすごい。GWに使ったレトロバイクと比べて、機敏に走ることと燃費以外ではすべてにおいて勝っている。長距離ツーリングの快適性は同じ二輪車とは思えないくらいに違っていた。ビッグスクーターは普通のバイクより遥かに楽で、それでいて旅先の土地の空気に触れて走れるのでクルマよりも遥かに旅情気分が味わえる。250CCビッグスクーターは旅の最高のツールだと改めて感じた。だが、いくら快適とはいえ、ナンパの旅となるとやっぱりクルマの方が有利になってしまうだろう。次回以降はナンパに専念する旅になるので、ビッグスクーターでの旅はしばらくはおあずけになるだろう。走り収めに北海道に行けたのは良かったと思った。

 

 

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